米、ハマスと人質解放巡り異例の接触 トランプ氏は「最後の警告」

トランプ米政権が、パレスチナ地区ガザで拘束されている米国人人質の解放に向け、イスラム組織ハマスと秘密裏に協議を行ったことが分かった。写真はハマスから解放されたイスラエル人の人質。テルアビブで2月撮影(2025年 ロイター/Ronen Zvulun)
Steve Holland Matt Spetalnick
[ワシントン 5日 ロイター] - トランプ米政権が、パレスチナ地区ガザで拘束されている米国人人質の解放に向け、イスラム組織ハマスと秘密裏に協議を行ったことが分かった。2人の関係筋がロイターに明らかにした。
同筋によると、米国のボーラー人質担当特使がカタールの首都ドーハで、ここ数週間の間に接触したという。ハマス側の代表については明らかになっていない。
トランプ大統領はホワイトハウスでガザ停戦合意に基づいて最近解放された人質グループと面会し、ソーシャルメディアでハマスへの「最後の警告」を発した。
自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「ガザの人々へ:美しい未来が待っているが、人質を取ればあなたたちは死ぬのだ!」と投稿。人質が解放されなければ「後で大変なことになる」とした。
米政府は1997年にハマスをテロ組織に指定。米国は長年、テロ組織に指定されたグループとは交渉しない政策を取っており、直接交渉は極めてまれ。
ホワイトハウスのレビット報道官は、米国とハマスの直接交渉に関する質問に対し、「ボーラー特使にはハマスと直接交渉する権限がある」と応じた。
イスラエルとも相談したと述べたが、ハマスとの直接協議の前後いずれかには触れず、トランプ大統領による「米国民のために正しい行動を取る誠意ある努力」と述べるにとどめた。
イスラエル首相府は「イスラエルはハマスとの直接対話に関する立場を米国に伝えた」とする声明を発表。詳細は明らかにしていないが、イスラエルはテロ組織に指定しているハマスとの直接交渉を拒否している。
ハマスの政治顧問であるタヘル・ヌヌ氏はロイターに対し「米当局者との協議については何も情報を持っていないが、米政権との協議はこの地域の安定にとって有益だ」と述べた。