欧州首脳、防衛費増額巡り協議 ウクライナ平和維持軍派遣で温度差

2月17日、欧州首脳は、パリでウクライナ紛争に関する緊急会議を開催した。写真は、スターマー英首相(左)とマクロン仏大統領(右)。同日、パリで撮影(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
John Irish Elizabeth Pineau Humeyra Pamuk
[パリ/リヤド 17日 ロイター] - 欧州首脳は17日、パリでウクライナ紛争に関する緊急会議を開催した。防衛力の強化に向けた支出増を求める声が出る一方、ウクライナに平和維持軍を派遣する案については意見が分かれた。
この会合は、トランプ米大統領が18日にサウジアラビアで開始予定のロシアとの協議から欧州各国とウクライナを除外したことを受け、フランスのマクロン大統領が開催を呼びかけた。
会談前にウクライナへの平和維持軍派遣に前向きな意向を表明していた英国のスターマー首相は、17日夕、欧州諸国が地上部隊を派遣するには米国の安全保障上の約束が必要だと述べた。派遣する英軍の規模について言及するのは時期尚早だとした。
平和維持軍派遣はロシアとの直接対決のリスクを高めるだけでなく、ウクライナへの武器供与などで保有兵器が著しく減少している欧州軍に負担をかけることになる。さらに財政が悪化している一部の欧州諸国が、こうした軍事資金をどう賄うのかという難しい問題もある。
スターマー氏が示した平和維持軍派遣方針について、首脳会議参加者の間では対応が分かれた。
ドイツのショルツ首相はウクライナの同意なしに和平協定はあり得ないと述べるとともに、和平協定が結ばれていない状態でのドイツの平和維持軍派遣検討は「極めて不適切」だと述べた。また、国内総生産(GDP)の2%以上を防衛費に充てている国は、欧州連合(EU)の予算規則によって阻止されるべきではないと述べた。
イタリアのメローニ首相も平和維持活動計画には反対のもよう。関係筋によると同首相は「ウクライナに欧州軍を派遣するという案は、私にとっては最も複雑で、おそらく最も効果がないと思われる」と述べた。
一方、デンマークのフレデリクセン首相は軍の派遣について議論する用意があるとし、欧州は国内の防衛費を増額するとともにウクライナへの支援を強化しなければならないと述べた。
ショルツ氏とポーランドのトゥスク首相は、EUの厳しい財政規則を緩和し、各国がEUの財政赤字規則に違反することなく防衛費の増額を可能にするよう求めた。
これに関しては14日、EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、防衛費をEUの政府支出制限から除外することを提案する方針を示している。