WTO、漁業補助金削減協定が進展せず 加盟国や環境団体が懸念

7月23日、世界貿易機関(WTO)の一般理事会で漁業補助金を削減する協定の草案が承認されなかったことを受け、加盟国や環境団体は懸念と失望感を表明した。写真はWTOのロゴ。スイスのジュネーブで2022年10月撮影(2024 ロイター/Denis Balibouse)
Emma Farge
[ジュネーブ 23日 ロイター] - 23日開かれた世界貿易機関(WTO)の一般理事会で漁業補助金を削減する協定の草案が承認されなかったことを受け、加盟国や環境団体は懸念と失望感を表明した。
WTOではここ20年余りにわたり漁業補助金を巡る交渉が行われている。2022年にはWTO閣僚会議で当初の協定が承認された。
残る問題に対処した第2フェーズの協定草案が今週の一般理事会での承認を目指して策定されたが、インドが反対した。インドは協定草案に「重大な欠陥」があると指摘した。
その結果、一般理事会の位置付けは、協定草案の採択からWTO加盟166カ国による単なる「話し合いの場」に引き下げられた。
米政府のWTO大使を務めるマリア・パガン米通商代表部(USTR)次席代表は「これらの交渉を巡るWTOでの今後の作業について深く憂慮している」と発言。協定草案に反対したインドの提案については「目的を理解するのが困難」と述べた。
中国は協定草案が採択されなかったことに深く失望したと表明。中国の李成鋼WTO大使は、インドを名指しこそしなかったが、協議は同じような理由で何度も頓挫していると指摘し「この窮地を脱する方法について考える必要がある。改革すべきだ」と語った。