欧州の防衛支出拡大、景気押し上げ要因に=フィンランド中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁(写真)は18日、ユーロ圏の経済成長はトランプ米政権の貿易戦争ですでに打撃を受けているが、域内の防衛支出急増が見込まれており、経済成長を押し上げる可能性があると述べた。2024年撮影。(2025年 ロイター/Lehtikuva)
[フランクフルト 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は18日、ユーロ圏の経済成長はトランプ米政権の貿易戦争ですでに打撃を受けているが、域内の防衛支出急増が見込まれており、経済成長を押し上げる可能性があると述べた。
総裁はMNIのウェビナーで「欧州の安全保障状況は明るい材料に乏しいが、予想される防衛費と投資の拡大は少なくとも中期的には域内総生産(GDP)の成長を支える可能性が高い」と発言。
全体の見通しは、米国の貿易措置を控えてすでに低調なため、こうした押し上げが非常に歓迎される可能性があると述べた。
「米国の関税と不確実性の高まりは、すでにユーロ圏の差し迫った経済成長見通し、短期の経済成長見通しに悪影響を及ぼしている」と指摘。
ECBは欧州の競争力の問題を解決できないが、これまでの利下げが家計・企業に「歓迎すべき行動の余地」を生み出していると主張した。
見通しは不透明であり、ECBは選択肢を温存する必要があるとして、追加利下げを確約することは避けたが、インフレは「かなり」予測通りに推移していると指摘。「ユーロ圏のインフレ率はECBの目標である2%で安定しつつある。インフレ見通しに対するリスクは双方向だ」と述べた。
レーン氏が言及したECBの予測では、経済とインフレが基本シナリオに沿って推移することを条件に、年内にさらに複数回の利下げを想定している。