25年公示地価、全国平均2.7%上昇 6割超の地点でコロナ前上回る

3月18日、国土交通省が発表した今年1月1日時点の公示地価によると、全用途が全国平均で前年比2.7%上昇と、前年(2.3%)から上昇幅が拡大した。写真は2021年6月、都内で撮影(2025年 ロイター/Fabrizio Bensch)
Kentaro Sugiyama
[東京 18日 ロイター] - 国土交通省が18日発表した今年1月1日時点の公示地価によると、全用途が全国平均で前年比2.7%上昇と、前年(2.3%)から上昇幅が拡大した。プラスは4年連続。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2021年に下落した地価は、景気が緩やかに回復する中で上昇基調が続いている。
比較可能な全国2万4351地点のうち、1万5558地点(63.9%)がコロナ前の20年の価格を上回った。
<全国の住宅地・商業地、4年連続で上昇>
全国の全用途平均の伸び率は、バブル経済で資産価格が高騰していた1991年(11.3%)以来34年ぶりの大きさだった。
住宅地は全国平均で前年比2.1%上昇。上昇幅は前年(2.0%)からわずかに拡大し、91年(10.7%)以来の伸び率となった。低金利環境が継続し、住宅需要は引き続き堅調に推移している。東京圏や大阪圏の中心部などで高い上昇を示した。
商業地は全国平均で同3.9%上昇。前年(3.1%)から上昇幅を拡大し、91年(12.9%)以来の伸びとなった。主要都市では店舗・ホテルなどの需要が堅調。オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向で収益性が向上している。
大手半導体メーカーの工場が進出している熊本県の大津町や菊陽町、北海道千歳市などの地域では、従業員向けの住宅用地や関連企業の工場・事務所用地などの需要が旺盛。ネット販売の拡大で大型物流施設などの需要も高く、交通アクセスが良好な工業地が引き続き人気を集めている。
<地方4市、建設費高騰など影響 伸び率は鈍化>
東京、大阪、名古屋の3大都市圏は全用途平均で同4.3%上昇、住宅地は3.3%上昇、商業地は7.1%上昇し、いずれも2008年以来の高い伸びだった。
地方圏は全用途平均が1.3%上昇と、伸び率は前年から横ばいだった。
札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方4市の全用途平均は同5.8%上昇と、12年連続のプラス。高い伸びを維持したものの、建設費の高騰による価格上昇が需要の弱まりにつながった部分もあり、上昇幅は23年(8.5%)の直近ピークから縮小してきた。
地方圏の「その他の地域」は、全用途平均、住宅地、商業地が3年連続で上昇した。