ニュース速報
ビジネス

エヌビディアCEOが基調講演へ、先端半導体市場で絶対的優位強調か

2025年03月18日(火)09時38分

米半導体大手エヌビディアが開催する年次開発者会議で、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が3月18日に基調講演を行う。1月6日、ラスベガスで撮影(2025年 ロイター/Steve Marcus)

Stephen Nellis Max A. Cherney

[17日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアが開催する年次開発者会議で、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が18日に基調講演を行う。

今年1月に中国新興企業ディープシークが公表した人工知能(AI)モデルで、AI開発には従来のような先端半導体の大量投入を必ずしも必要としない可能性が示されたため、エヌビディアの株価が売り込まれる場面があった。

ただフアン氏は今回、同社の先端半導体市場における優位は揺るがないと強調する見通しだ。

エヌビディアは年次開発者会議で「ルービン」と呼ばれる新たな半導体システムの詳細を明らかにするとみられる。ルービンは年内にも量産化される見込みだ。昨年のこの時期に公表した半導体「ブラックウェル」は生産を軌道に乗せるのが遅れたが、ようやく市場に浸透しつつある。

AI市場の流れが「学習」から「推論」へ移行していることは、エヌビディアにとって重圧になっている。学習関連の市場でエヌビディアの製品は9割を超えるシェアを誇るが、推論分野ではなお各社が競争を繰り広げており、シェアをどれだけ確保するかは推論型AIモデルの開発状況に左右されるからだ。

推論分野においてはシリコンバレーを中心とするさまざまな新興企業や、エヌビディアの伝統的ライバルであるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が、特に消費電力の面でエヌビディアよりも低いコストで機能する半導体を投入できると期待している。エヌビディアの半導体は膨大な電力を消費するため、AI企業はそれを賄うために原子炉の確保まで検討するほどだ。

それでもエヌビディアは、推論プロセスの中でもさらに進化した「リーズニング」のAIモデルで同社製品が強みを発揮すると強調している。リーズニングとは、単に事前学習によって与えられた要素を踏まえて回答するのではなく、根本的に何が問題でどうすれば良いかを論理的に考えることで、そうしたモデルの消費エネルギーはやはり大きく、エヌビディアの半導体が必要になるという。

関心が高まっている量子コンピューターについてのエヌビディアの動きも注目されそうだ。フアン氏は1月、この技術の実用化は数十年も先になると発言。しかしその後マイクロソフトとアルファベット子会社グーグルが量子コンピューターをもっと早く実現できるとの証拠を提供すると、エヌビディアも今回の年次開発者会議で、丸1日を量子コンピューター業界の現状と同社自身の計画を披露する機会に充てると表明していた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米一戸建て住宅着工件数、2月は11.4%増 大幅回

ワールド

ゲイツ氏、米政権に対外医療支援継続を要請 「財団は

ワールド

ガザ敵対再燃「ハマスに責任」、米国連大使代行がイス

ビジネス

米財務長官、「貿易の壁」回避の交渉機会を示唆 相互
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料高騰問題」の深層
  • 4
    「トランプ錯乱症候群」(TDS)って何? 精神疾患に…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「二酸化炭素(CO₂)排出量…
  • 6
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 7
    ローマ人は「鉛汚染」でIQを低下させてしまった...考…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 10
    51年ぶりに上陸...サイクロン「アルフレッド」がオー…
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 9
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中