エヌビディアCEOが基調講演へ、先端半導体市場で絶対的優位強調か

米半導体大手エヌビディアが開催する年次開発者会議で、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が3月18日に基調講演を行う。1月6日、ラスベガスで撮影(2025年 ロイター/Steve Marcus)
Stephen Nellis Max A. Cherney
[17日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアが開催する年次開発者会議で、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が18日に基調講演を行う。
今年1月に中国新興企業ディープシークが公表した人工知能(AI)モデルで、AI開発には従来のような先端半導体の大量投入を必ずしも必要としない可能性が示されたため、エヌビディアの株価が売り込まれる場面があった。
ただフアン氏は今回、同社の先端半導体市場における優位は揺るがないと強調する見通しだ。
エヌビディアは年次開発者会議で「ルービン」と呼ばれる新たな半導体システムの詳細を明らかにするとみられる。ルービンは年内にも量産化される見込みだ。昨年のこの時期に公表した半導体「ブラックウェル」は生産を軌道に乗せるのが遅れたが、ようやく市場に浸透しつつある。
AI市場の流れが「学習」から「推論」へ移行していることは、エヌビディアにとって重圧になっている。学習関連の市場でエヌビディアの製品は9割を超えるシェアを誇るが、推論分野ではなお各社が競争を繰り広げており、シェアをどれだけ確保するかは推論型AIモデルの開発状況に左右されるからだ。
推論分野においてはシリコンバレーを中心とするさまざまな新興企業や、エヌビディアの伝統的ライバルであるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が、特に消費電力の面でエヌビディアよりも低いコストで機能する半導体を投入できると期待している。エヌビディアの半導体は膨大な電力を消費するため、AI企業はそれを賄うために原子炉の確保まで検討するほどだ。
それでもエヌビディアは、推論プロセスの中でもさらに進化した「リーズニング」のAIモデルで同社製品が強みを発揮すると強調している。リーズニングとは、単に事前学習によって与えられた要素を踏まえて回答するのではなく、根本的に何が問題でどうすれば良いかを論理的に考えることで、そうしたモデルの消費エネルギーはやはり大きく、エヌビディアの半導体が必要になるという。
関心が高まっている量子コンピューターについてのエヌビディアの動きも注目されそうだ。フアン氏は1月、この技術の実用化は数十年も先になると発言。しかしその後マイクロソフトとアルファベット子会社グーグルが量子コンピューターをもっと早く実現できるとの証拠を提供すると、エヌビディアも今回の年次開発者会議で、丸1日を量子コンピューター業界の現状と同社自身の計画を披露する機会に充てると表明していた。