ニュース速報
ビジネス

トヨタがROE重視、継続的に20%達成へ 新車販売以外の事業拡大で

2025年03月05日(水)10時26分

 3月5日、トヨタ自動車の山本正裕・経理本部長はロイターとのインタビューで、ソフトウエアを通じた自動車の機能向上やサービスの追加など新車販売以外の収益拡大が本格化することを見据え、社内的な経営指標として自己資本利益率(ROE)を重視し、現状より5ポイントほど高い20%の達成を継続的に目指す考えを示した。写真は同社のロゴ。都内で2017年2月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Maki Shiraki Daniel Leussink

[東京 5日 ロイター] - トヨタ自動車の山本正裕・経理本部長はロイターとのインタビューで、ソフトウエアを通じた自動車の機能向上やサービスの追加など新車販売以外の収益拡大が本格化することを見据え、社内的な経営指標として自己資本利益率(ROE)を重視し、現状より5ポイントほど高い20%の達成を継続的に目指す考えを示した。

新車の製造と販売を事業の柱にしてきたトヨタはこれまで、コスト削減などで損益分岐点を引き下げることに注力してきたが、架装品などの販売や保守点検、販売金融、中古車販売といった事業の比重が高まっている。さらに今後はソフトウエアの更新を通じ、販売した自動車の利便性や性能を向上し続けることも本格的に手掛けるなど「バリューチェーン」全体の収益を高めようとしている。

山本氏は、「バリューチェーンによる収益は為替や新車市場といった変動要因による影響をあまり受けない」と説明。トヨタが取り組もうとしている事業の成長は「損益分岐台数だけでは測れない。やはりROEでみていくことも大事だ」と述べた。

ROE20%の達成期限は定めない。ROEは一定水準を維持し、対外的に「目標を掲げて宣言するよりも実績で示すほうが大事だ」と話し、「進ちょくをちゃんとお互い丁寧に共有しながら、(ステークホルダーと)会話していくことのほうに共感していただきたい」と語った。

ROEは自己資本をどれだけ効率よく使って利益を稼いでいるかを示す指標で、純利益を自己資本で割ることで算出する。業種によって異なるが、一般的に10%以上は経営効率が良く投資価値があるとされ、ROEが高くなると株価は上昇する傾向がある。

トヨタのROEは、2020年3月期以降は9━16%弱で推移しており、24年3月期は15.8%、24年4━12月期は15.6%だった。仕入先のコスト負担増などにより25年3月期の連結純利益は前年比9%減を予想しているが、バリューチェーンの収益が拡大しているとして2月5日の決算発表時に同28%減から上方修正した。

トランプ米政権の関税政策が経営に与える影響については、「試算はもちろんやっている」としつつ、「いろいろな国でいろいろな変化があるが、きちんとその変化に対応できる財務基盤をこれからも作っていきたい」と語った。「正しい判断をし、判断した後に実行するまで短いリードタイムでできるようにしていく」と述べた。

※インタビューは3日に実施しました。

(白木真紀、ダニエル・ルーシンク 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

第二次トランプ米政権は混乱拡大、関税免除になお期待

ワールド

米、関税導入でもカナダ産原油の輸入大幅減に数年必要

ワールド

トランプ氏「米国は戻ってきた」、施政方針演説 議員

ワールド

中国全人代開幕、成長目標5%前後 景気支援へ特別国
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政権の対カナダ25%関税
  • 3
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与える方法とは?
  • 4
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 7
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 8
    「70年代の日本」を彷彿...発展を謳歌する「これから…
  • 9
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 10
    ウクライナのために欧州が連帯呼びかける...「当事者…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 8
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 9
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 10
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中