トヨタがROE重視、継続的に20%達成へ 新車販売以外の事業拡大で

3月5日、トヨタ自動車の山本正裕・経理本部長はロイターとのインタビューで、ソフトウエアを通じた自動車の機能向上やサービスの追加など新車販売以外の収益拡大が本格化することを見据え、社内的な経営指標として自己資本利益率(ROE)を重視し、現状より5ポイントほど高い20%の達成を継続的に目指す考えを示した。写真は同社のロゴ。都内で2017年2月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Maki Shiraki Daniel Leussink
[東京 5日 ロイター] - トヨタ自動車の山本正裕・経理本部長はロイターとのインタビューで、ソフトウエアを通じた自動車の機能向上やサービスの追加など新車販売以外の収益拡大が本格化することを見据え、社内的な経営指標として自己資本利益率(ROE)を重視し、現状より5ポイントほど高い20%の達成を継続的に目指す考えを示した。
新車の製造と販売を事業の柱にしてきたトヨタはこれまで、コスト削減などで損益分岐点を引き下げることに注力してきたが、架装品などの販売や保守点検、販売金融、中古車販売といった事業の比重が高まっている。さらに今後はソフトウエアの更新を通じ、販売した自動車の利便性や性能を向上し続けることも本格的に手掛けるなど「バリューチェーン」全体の収益を高めようとしている。
山本氏は、「バリューチェーンによる収益は為替や新車市場といった変動要因による影響をあまり受けない」と説明。トヨタが取り組もうとしている事業の成長は「損益分岐台数だけでは測れない。やはりROEでみていくことも大事だ」と述べた。
ROE20%の達成期限は定めない。ROEは一定水準を維持し、対外的に「目標を掲げて宣言するよりも実績で示すほうが大事だ」と話し、「進ちょくをちゃんとお互い丁寧に共有しながら、(ステークホルダーと)会話していくことのほうに共感していただきたい」と語った。
ROEは自己資本をどれだけ効率よく使って利益を稼いでいるかを示す指標で、純利益を自己資本で割ることで算出する。業種によって異なるが、一般的に10%以上は経営効率が良く投資価値があるとされ、ROEが高くなると株価は上昇する傾向がある。
トヨタのROEは、2020年3月期以降は9━16%弱で推移しており、24年3月期は15.8%、24年4━12月期は15.6%だった。仕入先のコスト負担増などにより25年3月期の連結純利益は前年比9%減を予想しているが、バリューチェーンの収益が拡大しているとして2月5日の決算発表時に同28%減から上方修正した。
トランプ米政権の関税政策が経営に与える影響については、「試算はもちろんやっている」としつつ、「いろいろな国でいろいろな変化があるが、きちんとその変化に対応できる財務基盤をこれからも作っていきたい」と語った。「正しい判断をし、判断した後に実行するまで短いリードタイムでできるようにしていく」と述べた。
※インタビューは3日に実施しました。
(白木真紀、ダニエル・ルーシンク 編集:久保信博)
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