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米AI企業コアウィーブがナスダックIPO申請、時価総額350億ドル超えも

2025年03月04日(火)12時08分

 3月3日、人工知能(AI)に対応したクラウドサービスのプロバイダーで、米半導体大手エヌビディアが出資する米コアウィーブは3日、米ナスダック市場への新規株式公開(IPO)を申請した。写真はナスダックのロゴ。米ニューヨークで2月撮影(2025 ロイター/Brendan McDermid)

[3日 ロイター] - 人工知能(AI)に対応したクラウドサービスのプロバイダーで、米半導体大手エヌビディアが出資する米コアウィーブは3日、米ナスダック市場への新規株式公開(IPO)を申請した。申請書類によると、2024年決算の売上高は19億2000万ドルと前年の8倍超に膨らんだ一方、純損失は8億6340万ドルと前年の5億9370万ドルから拡大した。

コアウィーブのIPOはニューヨークでの今年に入ってから初めてのAI関連の大型上場となり、近年で最大規模の株式市場になる可能性がある。ロイターは企業価値に当たる時価総額が350億ドルを超えることを目指す見通しだと報じていた。

ティッカーシンボルは「CRWV」となり、主幹事証券会社はモルガン・スタンレーとJPモルガン、ゴールドマン・サックスが務める。

IPOに当たり、コアウィーブは一部の既存株主とともに株式を売却する。調達資金は、運転資金や借入金返済などの目的に使うと説明している。ロイターは昨年11月、コアウィーブが株式売却で30億ドル超の資金調達を目指している公算が大きいと報じていた。

コアウィーブは17年に設立され、米東部ニュージャージー州ローズランドに本社を置く。主にエヌビディアが供給するAI対応の高出力半導体を活用したデータセンターを使い、クラウドサービスを提供している。24年時点で32カ所のデータセンターを抱え、前年の10カ所から急拡大した。また、計25万個を超える画像処理装置(GPU)を稼働させている。

コアウィーブの大株主には6%を保有するエヌビディアのほかに投資会社のマグネター・キャピタル、英資産運用大手フィデリティ・インターナショナルが名を連ねる。

顧客にはヘッジファンドのジェーン・ストリート・グローバル・トレーディング、IT大手のメタ・プラットフォームズ、IBM、マイクロソフトなどが含まれる。事業内容はマイクロソフトや、アマゾン・ドット・コムなどのクラウドプロバイダーと競合する。

コアウィーブは昨年11月、6億5000万ドル相当の株式を売り出しに際して企業価値が230億ドルだと評価されていた。

IPOに特化した調査と上場投資信託(ETF)を手がけるルネッサンス・キャピタルのシニアストラテジスト、マット・ケネディ氏は「コアウィーブは25年の目玉IPOの1つになるはずだ。私たちはこのようなテクノロジー企業が口火を切るのを待っていた」と話した。

コアウィーブはこれまでに12回の資金調達で総額145億ドルを超える資金調達と株式発行を実施してきた。昨年5月にはプライベート・デット(PD)で最大級となる70億ドル超を調達し、投資会社のブラックストーンとマグネターが主な引受先となった。

ロイター
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