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実質金利極めて低い、経済・物価見通し実現していけば利上げ=日銀総裁

2024年12月19日(木)16時20分

 12月19日、日銀の植田和男総裁は、金融政策決定会合後の会見で、現在の実質金利は極めて低い水準にあるとの認識を示し、今後、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて利上げし金融緩和度合いを調整していくと述べた。写真は10月31日、都内で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Kentaro Sugiyama Takahiko Wada

[東京 19日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は19日、金融政策決定会合後の会見で、現在の実質金利は極めて低い水準にあるとの認識を示し、今後、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて利上げし金融緩和度合いを調整していくと述べた。

最近の経済・物価に関する指標がおおむね見通しに沿って推移している中で今回利上げを見送った理由について、「賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金動向についても少し情報が必要」と説明。海外経済の先行きが引き続き不透明で、米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性も大きいと指摘した。

日銀は今回の会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決めた。政策金利の現状維持は賛成8反対1で決定。田村直樹委員は、経済・物価が見通しに沿って推移する中、物価上振れリスクが膨らんでいるとして0.5%程度に利上げする議案を提出したが、反対多数で否決された。

日銀は同日、23年4月以降実施してきた「金融政策の多角的レビュー」を取りまとめた。非伝統的な金融政策は、短期金利の操作による伝統的な金融政策の完全な代替手段にはなり得ず、可能な限りゼロ金利制約に直面しないように政策運営することが望ましいと指摘。引き続き2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け金融政策運営をしていくことが適切とした。

植田総裁はレビューの結果について「当面の金融政策運営に直ちに影響を与えるものではないが、長い目で見て金融政策のあり方を考えるうえで貴重な材料を提供するものになった」と意義を強調した。

ロイター
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