そもそも有権者にまともな意志決定能力がないのではないのか? という調査
大人もまともな意志決定能力があるか甚だ怪しい、という調査
ちなみに、最近では子供の選挙権が、また違った方向から俎上に上がっている。というのも、近年コンピュータが進歩したため、大規模なデータを効率よく扱うことが出来るようになったのだが、政治学の世界でも、有権者の行動や知識に関してこれまで蓄積された様々な調査をもとに、統計的、計量的に分析する研究が増えてきたのである。
こうしたいわゆる計量政治学がもたらした結論のいくつかは皮肉なものだった。例えば、我々有権者の多くは政治に関してほとんど何の知識も無いということが明らかになりつつある。三権分立の三権が何か分からない、自分が「支持」する政党の政策を全く理解していない、憲法は大事と言いつつ憲法の内容を理解していないといった具合で、本来は知識のある自律した有権者が投票するというところに民主主義の正統性が担保されていたのだが、現実には仕組みやロジックが理解されていないのに、形式としての投票だけが擁護されているわけだ。
また、地球温暖化が典型だが、個別の問題に関して自分の一票が政策に影響を与える可能性が極めて低いのに、問題をきちんと理解するために必要となる膨大な量の勉強をするはずがないという「合理的無知」(rational ignorance)という考え方もある。我々が一票を投じるのは、往々にして目隠ししてダーツを投げているようなものなのだ。
年齢制限を撤廃したほうがわかりやすい?
そんなわけで、従来、子供は知的に成熟しておらず意志決定能力が低いという理由で投票権の年齢制限が正当化されてきたわけだが、実は大人もまともな意志決定能力があるか甚だ怪しいということが、データで立証されつつある。
だとすれば、年齢制限を撤廃して何歳でも投票できるとしたほうが分かりやすいかもしれない。幼児の場合ランダムにボタンを押すようなものかもしれないが、大人も大差無いわけだ。さらに、逆に大人の投票権こそ制限すべきではないか、という話まで出てきてこれがなかなか面白いのだが、それはまた別の機会に。
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