IPEFはそもそも「TPPの代わり」ではない、中国をにらんだバイデンの真意とは
IPEFが中国のアジア支配に歯止めをかける
軍事面では、アジア太平洋地域で「日米豪印戦略対話(通称クアッド)」をさらに強化し、米英豪の新しい防衛協力の枠組みである「AUKUS(オーカス)」も発足させた。同盟国である日本、韓国、オーストラリアを重視する姿勢を打ち出し、この地域に配備する軍事力も増強している。
発足して1年半近くの間、バイデン政権は極めて明確なアジア戦略の下、一貫した行動を取り、大きな成果を上げてきた。IPEFはその一要素として、中国のアジア支配に歯止めをかける効果があるだろう。アジアの国々もそれを歓迎するに違いない。
しかし、国の影響力が貿易と投資と軍事の要素で決まることを忘れてはならない。中国はアジアの全ての国にとって最大の貿易相手国であり、この地域で飛び抜けて最大の投資国でもある。しかも、海軍は既に世界最大の規模に達している。
この点を考えると、いずれ経済成長が鈍化し、人口が減り始めるまでは、アジアで中国の影響力が増大し続ける可能性が高い。バイデンのアジア戦略により、そのペースを遅らせることはできても、阻止することはできないだろう。

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