次期大統領候補だったルペンが有罪に、ここから始まるフランス政界大混迷

被選挙権5年間停止で、ルペンの大統領選出馬は困難だが TOM NICHOLSON/GETTY IMAGES
<極右政党・国民連合の実質的トップであるマリーヌ・ルペンが公金不正流用で有罪に。非選挙権が5年間停止されたため、2027年の次期大統領選出馬がかなり厳しくなったが、抜け道がないではない>
政治的死刑だ──フランスで支持率トップのポピュリズム・極右政党、国民連合(旧国民戦線)の実質的指導者で、公金不正流用の罪に問われているマリーヌ・ルペンは、3月31日に下された有罪判決についてそう語った。確かに、そのとおりだろう。ルペンは「任期中に......有罪判決を受けた」者は「被選挙権を永久停止」すべきだと発言したこともある。その意見も正しいかもしれない。
今回の1審判決はルペンの被選挙権停止を言い渡したが、その期間はわずか5年間だ。禁錮4年(執行猶予2年)も科され、ルペンは2年間、電子ブレスレットを装着して監視下に置かれることになる(ルペンは控訴中で、その間は禁錮刑は適用されない)。
問題は、ルペンが有力候補と見なされていた次回大統領選が2027年4月頃に実施されることだ。
ルペンや国民連合幹部は、欧州議会の資金合計400万ユーロ以上を不正流用した疑いがある。有罪は明らかだが、その裁判は司法と政治の対立にすり替わり、ルペン自身のレトリックによって、民主主義と汚職、およびファシズムの対決とも化している。
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