次期大統領候補だったルペンが有罪に、ここから始まるフランス政界大混迷
わずかに残る「ルペン出馬」の可能性
ルペンや国民連合、各国の極右勢力が示した反応は、有罪者の典型的パターンそのものだ。事実も法律も味方に付けられないときは、ひたすら主張をわめき立てろ──。
ルペンの後継者と目される国民連合のバルデラ党首は「不当な有罪判決を受けたのはルペンだけではない。フランスの民主主義が処刑された」と断じた。同じく有罪を宣告された同党の元財務担当責任者は「法ではなく、政治による」判断だと非難した。
どれも妄想であり、嘘だ。フランスではシラク元大統領、ジュペ元首相、サルコジ元大統領が過去に同様の容疑で有罪判決を受け、被選挙権を停止された。
欧州議会のフランス中道派議員が指摘したように、真の要点は「この国の民主主義の核にあるのは......司法制度の独立だ。誰であれ、法を超越することはできない」ということだ。
判決の政治的影響は既に出始めている。ただし、長期的インパクトは未知数だ。ルペンによる控訴の成り行き次第では、大統領選出馬の可能性もわずかながら存在する。
控訴裁判所は4月1日、来年夏に判決を出す方針を発表した。それまでに控訴裁判所が1審判決の執行を停止した場合、国民連合は選挙の前倒しとルペン出馬を実現するため、内閣不信任案可決を目指す展開も考えられる。だが、いずれにしても「ルペン有罪」は深刻な政治的打撃だ。
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