コロナ禍の東京五輪に、私たちが夢中になる理由
スポーツを見る心理は古代オリンピックも今も変わらない SCIENCE SOURCE/AFLO
<過去最高を記録し続ける東京と日本のコロナ感染者数。それでも日程に変更はなく、世界中で多くの人々が東京五輪のメダル争いに見入っている。なぜか。そこには4つの理由がある>
東京と日本の新型コロナウイルス感染者数は過去最高を記録し続け、7月末には東京で1日4000人を突破。日本全体でも1万人を超えた。
だが、東京五輪の日程に変更はない。競技場は無観客だが、世界中で多くの人々が最高のアスリートによるメダル争いに見入っている。
感染力の強いデルタ株の感染が世界で急拡大しているが、アメリカでも大リーグの試合に連日多くの観客が集まっている。
なぜ多くの人がスポーツを見たい、参加したいと思うのか。私たちがウイルスの脅威にも負けず、重量挙げや野球、水泳などに熱中する理由は次の4つだと考えられる。
■幸福感
私たちは自分を独立した1人の個人と思っているが、その認識は間違いだ。心理学者によれば、人はしばしば自分と「外の世界」を区別できない。
誰かや何かと心理的に密接な関係にあるとき、脳はその成功や特徴が自分の肉体に属するのか、密接な関係にある別の誰かや何かに属するのかを区別できないことが多い。
スポーツ観戦はこの性質と深く結び付いている。私たちは自分とひいきのスポーツチームや選手、仲間のファンを一体化させる。彼らの成功を共有し、文字どおり神経レベルで一体感を抱くのだ。
選手たちの経験やスキルは心理的に(または疑似体験として)私たち自身のものになり、それによって私たちは自分以上の存在になる。
■帰属意識
この神経レベルでの他者との融合は、同じ「内集団」の一員であるという強力な帰属意識を生む。
人間は社会的動物だ。自分の生存と幸福を、成功したグループの一員であることに依存してきた。例えば家族や部族、そして五輪の日本代表だ。
私たちは本能的に、人を同じグループの一員かどうかで分類する。スポーツは特定のグループに所属するための手っ取り早い手段だ。ファンになれば、単に試合の勝ち負けやファインプレーを見たときよりも、もっと深い喜びを感じられる。
内集団に属していると、自尊心や幸福感が高まる。チームと一体化すれば、孤独感や疎外感が弱まり、ポジティブな感情や自尊心が強くなる。
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