ムラー報告書でロシア疑惑は晴れず、狂乱は大統領選まで続く
実際問題としては、トランプが弾劾・罷免されることは考えにくい。共和党の議員は全員反対するだろうし、民主党指導部も弾劾手続きを推し進めることが得策でないと考える可能性が高いからだ。20年の大統領選で民主党候補にとって不利に働きかねないと恐れているのだ。
民主党が国民の暮らしを改善させるための政策を提案せず、トランプたたきに明け暮れていると有権者に思われれば、ムラー報告書の内容に関係なく、トランプが大統領に再選されても不思議はない。
司法上の論戦の戦わせ方について、有名な伝記作家で詩人のカール・サンドバーグはユーモアを込めてこんな言葉を残している──「法と事実が自らに不利なときは、テーブルをたたいてわめき散らせ」。
ロシア疑惑をめぐってはムラーの報告書が事実を提示し民主党が法律論を訴えている。そうなると20年の大統領選までの間、共和党とトランプがテーブルをたたいてわめき散らすことになりそうだ。
<本誌2019年4月30日/5月7日号掲載>
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