オキナワの現状を地政学で読み解く
思いどおりにいかないハワイの情勢をめぐって、ワシントンの政界では盛んな議論が交わされた。その際、アメリカの偉大な軍事戦略家で海洋史家のアルフレッド・マハンは、後に米大統領に就任するセオドア・ルーズベルトに地政学的視点からこう助言した。「まず支配せよ。その後で(問題を)解決すればいい」と。
筆者の大学時代のルームメイトの父親は、米軍兵士として沖縄戦を戦った。私たちの父親世代にとって、沖縄とは恐怖と英雄的行為と勝利の地、第二次大戦という輝かしい歴史に押された刻印だった。だがルームメイトの父親は終戦から60年後に亡くなるまで、自分が沖縄で見たこと、したことを語ろうとはしなかった。
アメリカでは今、沖縄の名前を知る人は50人に1人に満たないだろう。しかし日米の戦略地政学専門家から見れば、米軍基地や地元の不満、国益をめぐる沖縄の問題の在り方は130年前のハワイと酷似している。沖縄が持つ意味は知事選だけにとどまらない。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと 2024.10.22
戦術で勝ち戦略で負ける......「作戦大成功」のイスラエルを待つ落とし穴 2024.10.08
カマラ・ハリスの大統領選討論会「圧勝」が、もはや無意味な理由 2024.09.25
共和党バンスvs民主党ウォルズは、あまりに対照的な副大統領候補対決 2024.09.03
全面戦争を避けたいイランに、汚職疑惑を抱えるネタニヤフが「悪夢の引き金」を引く 2024.08.20
大統領への道「勝負の100日間」ハリスの物語と夢のパワーがアメリカの命運を決める 2024.08.01
追い詰められた民主党が苦しむ「バイデン降ろし」のジレンマ 2024.07.20