トランプ「誰もいなくなった」人事の後で
こうした動きを追い、報告する諜報員は「アメリカの政策傾向についての現場評価」として、次のような結論を下すのではないだろうか。
トランプ政権の人事の混乱は、政権が日々のあらゆる課題に関して一貫した立場を確立できず、変化が頻繁に起きていることの兆候だ。首尾一貫した政策を維持できるだけの期間、地位にとどまれた者は少なく、そもそも政策自体が矛盾している。政策で一貫している点といえば、大統領の内向きで単独行動主義(ユニラテラリズム)的な見解が反映されていることだけだ。
根本において、トランプは側近の助言を無視する。受け入れるのは自らの先入観と合致するときに限られるが、その先入観はほぼ例外なく無知に基づく。
激しい人事異動や無能力、政策の欠如、上級高官の頻繁な交代がトランプの孤立主義と絡み合う結果、アメリカは第二次大戦後の国際秩序の守り手という役割から後退を続けるだろう。
ホワイトハウスにおける政策と人材の問題は、世界の構造が多極化へと変化し続けていることを示す。アメリカの衝動的行動と無能が生み出す隙間を埋めるのは、国際的影響力を増す中国だ。時代の趨勢は急速に東へ向かっている。
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