コラム

悪意を撒き散らすひろゆき発言への危機感

2022年10月31日(月)15時46分

DaiGo炎上記事で既に述べたことだが、あらゆる問題をフラットに、コンテンツ化してしまう「ディベート」は、生存権のような社会の譲れない価値を揺るがすことに繋がる。ひろゆき氏は、基地問題や医療費問題について「問題提起」することで、「建設的」な議論をしているつもりのようだが、露悪的な論点を不誠実なやり方で提示することは、全く「建設的」な議論とは呼べない。

DaiGoのホームレス差別は世間の批判を呼び、彼は謝罪することになった。しかしひろゆき氏は10月の一連の発言に関して、どれについても謝罪をしていない。これは極めて危険な兆候だ。こうした発言が許され、支持されてしまうなら、それは社会の底が抜けてしまったということだからだ。

だから私たちは、たとえ「問題提起」だろうと許されない発言はあるのだ、ということを、もう一度確認する必要があるのだ。

プロフィール

藤崎剛人

(ふじさき・まさと) 批評家、非常勤講師
1982年生まれ。東京大学総合文化研究科単位取得退学。専門は思想史。特にカール・シュミットの公法思想を研究。『ユリイカ』、『現代思想』などにも寄稿。訳書にラインハルト・メーリング『カール・シュミット入門 ―― 思想・状況・人物像』(書肆心水、2022年)など。
X ID:@hokusyu1982

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