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ドイツの新連立政権にあって日本にないのは国民生活へのリスペクト
メルケル政権に代わる新政権の面々(写真左から緑の党共同党首のベアボックとハベック、SPD党首で首相候補のショルツ、FDP党首のリントナー)Fabrizio Bensch-REUTERS
<イデオロギーや党綱領に違いはあっても、自由、民主主義、平等の理念が一致していれば連立して国民の暮らしを向上させていくことはできる>
今年9月、ドイツで行われた総選挙で、中道左派のSPDが僅差で第1党となり、オーラフ・ショルツを首班とする連立交渉に入った。この選挙で過半数を制した政党はおらず、ショルツ政権は環境政党である緑の党および自由主義政党のFDPとの3党連立政権となる。11月24日、3党の合意が成立し、12月初頭に政権は発足する見通しとなった。
「信号機」連立ができるまで
このドイツの総選挙結果では、連立政権の選択肢は3つに絞られていた。一つはSPDと緑の党とFDPの通称「信号機」連立。もう一つはSPDと中道右派CDU/CSUの大連立、そして、CDU/CSUと緑の党とFDPの通称「ジャマイカ」連立である。このうち比較第1党を排除した「ジャマイカ」連立は民主主義の論理からいって筋が悪く、世論調査でも支持を得られていないことから排除され、またメルケル時代を通じて続けられてきた大連立は、お互いにもう?やる気がないということで、事実上、取りうる選択肢は「信号機」連立だけとなった。
ちなみに、極右政党AfDとはどの党も連立を組むことを拒否しており、また左翼党はキャスティング・ヴォートを得られる議席数を獲得出来なかったため、政権選択からは排除されている。
長引いた連立交渉と新政権の不安要素
SPD、緑の党、FDPの3党は10月15日、連立協議の事前準備を終え、正式協議は11月24日までかかった。連立交渉に時間がかかるのは普通のことだが、今回は緑の党とFDPの主張の違いが大きいため、いっそう難しい協議となった。
緑の党は環境政党で、気候変動問題について大胆な政策を主張している。脱原発や脱石炭などの政策を実行に移すためには当然ながら多額の財政出動が必要だ。しかしFDPは経営者などを支持基盤とする企業寄り政党であり、積極財政には消極的だ。
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