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フランス外交には女性改革が必要だ
フランス女性には、大使になれば世界中で男女差別をひっくり返すパワーと魅力があるのに(写真の前列、右から3番目はマルレーヌ・シアッパ首相付男女平等・差別対策担当副大臣。男女平等についての会議の後、マクロン夫妻やゲストのエマ・ワトソンらと共に 2019年2月19日)
<フランスは日本よりリベラルで、女性も強いと思ったら大間違い。とくに男性優位で悪名高いのが外務省。教養もユーモアもあるフランス女性がもっとたくさん外交官になれば、世界中で女性の地位を向上させてくれるだろう>
5月16日のこと、フランスの権威ある左派系全国紙『リベラシオン』の一面では、白いハイヒールが目立ちました。この日の特集の写真です。退屈な背広を着た男性陣の真ん中に、白いドレスと白い靴の女性が立っています。フランス政治の光と影、というニュアンスでしょうか。皮肉たっぷりの見出し「『ガラスの天井』省」とは、ある程度出世すると女性は見えない天井にぶつかってそれより上には行けない、という外務省の体質を皮肉った言葉です。例えば、外務省で働くフランス外交の古き良きエリートたちのうち、大使として世界中に派遣された女性はたった3割しかいないのです。
フランスでは19世紀末から女性がエリート学校に通いはじめ、早めに投票権も得たものの、フェミニズム運動が現れたのは1960年代と遅めでした。1970年代になっても、シングル・マザーが社会批判を浴びるなど、まだまだ男性中心のカトリック社会が続いていました。1980年代にフランソワ・ミッテラン大統領は一瞬だけフランス史上初めて女性を首相に指名しましたが、彼女は男性中心の政界で孤立し、辞めてしまいました。終わってみれば、彼女をサポートする組織もなく、先駆者と呼ばれたいミッテランの自己PRに過ぎませんでした。
マクロン夫妻も官僚に負けた
エマニュエル・マクロン大統領とブリジット夫人は仏政界の男尊女卑を改革してくれる人物と期待されましたが、官僚の壁は厚かったようです。マクロンの支持率は、就任当初の60%が今では30%まで落ちてしまいました。原因の一つは、「雄弁だが実行力がない」ことです。
そのマクロン政権の限界を象徴しているのが、他ならぬ外務省です。フランスのモットーである「自由、平等、博愛」はマクロンが現代風に「モビリティ(年齢を問わない社会出世)、パリティ(男女平等)、ダイバーシティ(多民族国家)」と言いたがりますが、どちらにしてもうまく行っていません。女性はガラスの天井にぶつかり、エリート学校では純粋なフランス人以外の学生は今も暗黙の差別を受けています。
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