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光の届かない深海で「暗黒酸素」が生成されていた...光合成だけでない「地球の酸素供給源」とそれを脅かす採掘の脅威
地球電池の発見は、1980年代に深海底採掘された場所が、2010年代になっても細菌すら存在しない「デッドゾーン」になっていることの解明につながるかもしれません。つまり、採掘によって暗黒酸素の生成源が失われたため、酸素不足によって生物がそこに住めなくなってしまった可能性があるということです。
研究チームの仮説が正しければ、今後、深海底採掘でポリメタリック・ノジュールが採り尽くされてしまえば、海洋、特に海底の生物の生存に多大な影響を与えるでしょう。ポリメタリック・ノジュールが豊富な地域の海底動物相の多様性は、陸上で最も多様な熱帯雨林よりも高いと言います。しかも、酸素供給源の団塊は、一度失われれば再生に数百万年かかるのです。
研究者たちは、採掘業界は深海底採掘活動を計画する際に、今回の発見を考慮すべきだと主張しています。さらに調査が進めば、規制機関である国際海底管理局(ISA)を動かすこともできるかもしれません。
宇宙生物学の発展にも貢献か
一方、スウィートマン博士は、今回の結果が生命の起源に関する議論にも一石を投じる可能性があると考えています。
「好気性生物には酸素が必要なので、地球では光合成生物がまず現れて、酸素供給源となったというのがこれまでの定説です。しかし、本研究によって光がまったくない深海でも暗黒酸素が生成されていることが示されました。したがって、好気性の生命体はどこから始まったのか、という疑問を再考する必要があると思います」
惑星科学では長い間、豊富な酸素は光合成を示唆している、つまりその惑星には光合成を行う生命が存在していると考えられてきました。実際に宇宙で生命を探す場合、酸素量を指標とすることが有力視されてきました。
しかし15年、日本の自然科学研究機構を中心とした研究チームが、生命が必ずしもいなくても、酸化チタンの光触媒反応によって酸素を豊富に保持した地球型惑星になりうることを理論的に明らかにしました。
今回の研究で提唱された「暗黒酸素説」は、惑星での非生物的な酸素発生の多様性を示唆するもので、宇宙生物学の発展にも貢献することが期待されます。
今年は日本初の月面着陸成功や、アルテミス計画での日本人の月面着陸決定で、宇宙開発新世紀の幕開けの年とも言えます。けれど、足元の地球も、まだまだ解明すべき謎に満ち溢れているようです。
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