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シジミ汁の白く濁る理由がついに解明された!
シジミが肝臓機能の亢進(こうしん)と結びつけられるのは、オルニチンやメチオニン、シスチン、タウリンなどを多く含んでいるからとされます。もっとも、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」のウェブページでは、「有効性は、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない」「安全性は、鉄過剰を起こしやすいC型肝炎患者は、鉄を豊富に含むシジミはむしろ避けるべき」と記述されています。
白濁の原因はトロポミオシン
古くから信じられていたシジミの効能が、国の基準では「科学的にはまだ確証を得ていない」という判断になることは意外かもしれません。同様に、シジミを水に入れて熱すると白いスープが得られることは食べたことがある人にとっては当然と思われていそうですが、科学的には解明されていませんでした。
これまでは、シジミに多く含まれている旨味成分の一つであるコハク酸が水に溶けにくい性質を持つことから、「溶けきれなくなったコハク酸が原因で白濁しているのではないか」などの予想がありました。けれど、コハク酸は冷水には溶けにくいものの熱水にはよく溶けるので、辻褄が合いませんでした。
白い液体は一般に、液体中の小粒子によって光が散乱することで白色に見えています。この粒子は適度な大きさであることが必要です。たとえば、牛乳ではタンパク質カゼインにカルシウムが結びついて、平均直径が約200ナノメートルの小粒子を作っています。豚骨スープでは、骨髄や皮などのタンパク質コラーゲンが熱を加えられてゼラチンとなり、脂分を包み込むことで、同程度の大きさの小粒子を作っています。
今回、島根大のチームは、筋収縮の調節をする働きで知られているタンパク質のトロポミオシンが白濁の原因であることを突き止めました。
研究では、まず白濁の原因物質の大きさを調べました。シジミ汁の中の粒子は、大きさが100キロダルトン(統一原子質量単位)以上であることが分かりました。分子量の大きい物質が検出されると、まず、タンパク質が疑われますが、この大きさはタンパク質としても大きい部類です。
ただし、タンパク質は熱で変性しますし、280ナノメートルの波長の光(紫外線)を吸収する性質があります。熱いシジミ汁でも白濁していること、280ナノメートルの紫外線を吸収しないことから、白濁の原因はタンパク質とは考えにくい状況でした。
ところが、タンパク質の分離・検出ができる電気泳動装置によってシジミ汁にはタンパク質が含まれていることが分かり、詳しく分析するとトポロミオシンが検出されました。また、牛乳や豚骨スープとは異なり、トロポミオシンはイオンや脂質とは結びついていないことも複数の質量分析法を用いて分かりました。
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