コラム

シジミ汁の白く濁る理由がついに解明された!

2022年10月18日(火)11時20分

さらに、トロポミオシンには、タンパク質が280ナノメートルの紫外線を吸収する原因となっているアミノ酸のトリプトファンが含まれておらず、耐熱性がありました。タンパク質でありながら、例外的な性質を持っていたために、シジミ汁には「一見すると、白濁の原因がタンパク質だとは考えられない状況」が作られていたのです。

後に、研究チームはシジミ以外の貝についても調査して、はまぐり、赤貝、ホタテ貝、牡蠣などでもスープは白濁し、その原因物質がトロポミオシンであることを確認しました。今後は、トロポミオシンを利用して「白濁して美味しそうに見えるスープ」を作ったり、耐熱性タンパク質の製造への基礎研究に役立てたりしたいとのことです。

創薬や宇宙理論などで時代を変えるような研究は、感動や科学への興味・畏怖を生みます。対して、身近な「なぜ?」が解明されると、誰もが納得したり、誰かに話したくなったりすることで、科学に親しみを感じさせてくれます。科学ニュースを検索していて目に飛び込んでくるワードがあれば、それがあなたの「身近ななぜ?」です。ぜひ読んでみてくださいね。

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プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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