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羽生結弦選手が卒論で語るフィギュア採点の未来
フィギュアのシングル競技は、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2演技の合計点で競います。それぞれの演技は、技術点と演技構成点で採点されます。技術点では、選手が決められた数のジャンプ、スピン、ステップを実施し、審判員が個々の要素を基礎点と出来栄え点で評価します。演技構成点では、スケーティング技術、技のつなぎ、演技力、プログラムの構成、音楽の解釈の5項目を評価します。
技術点では、ジャンプが最も数の多い要素で、配点も高いです。後向きと前向きのどちらに滑って跳ぶか、踏み切る時にスケート靴のつま先(トウ)を突くか突かないか、刃(エッジ)の内側・外側のどちらを使うかの違いで6種類のジャンプがあり、回転数が増えるほど高難度で基礎点も高くなります。
たとえば羽生選手の平昌五輪のFSでは、109.55点のうち8つのジャンプの合計は87.75点、3つのスピンは計13.07点、2つのステップは計8.73点でした。つまり、基礎点が高い4回転や3回転半のジャンプを、高い出来栄え点で飛べる者が極めて有利になる競技なのです。
オリンピックに採用されている競技では通常、五輪直後に大きなルール変更があり、新ルールで次の五輪まで戦います。
フィギュア男子シングルで平昌五輪と最も大きく変わったのは、ジャンプの点数の付け方です。平昌五輪後の変更で、技術点のうち4回転ジャンプの基礎点は軒並み下げられました。いっぽう、出来栄え点は+3から-3までの7段階評価から、+5から-5までの11段階評価に拡大されました。
平昌五輪までは、4回転ジャンプは基礎点の高さから「転倒や多少の回転不足があっても飛んだほうが得」という面が否めませんでした。けれど新ルールでは、転倒には-5,回転不足には度合いに応じて-1から-3と、出来栄え点で大きなマイナスが付けられます。北京五輪では、試合に勝つためには、より質の高いジャンプを成功させることが求められます。
AI採点導入の議論も
ジャンプの採点は、3人の技術審判員によって行われています。回転不足が疑われる場合は映像を見直して判断しますが、基本的に演技の流れの中で瞬時に採点し、次の選手の演技前までに確定します。オリンピックや世界選手権では30人もの選手の演技を、公平を期すために同一の審判団が採点します。大変な労力ですし、「疑惑の採点」が話題になることもありました。
フィギュアと同じ採点競技である体操競技では、「審判の目だけで見るには限界がある」と、AI自動採点システムが2019年の世界選手権で一部競技に正式採用されました。フィギュアでも、技術点にはAI採点が導入できるのではないかと議論されていますが、まだ実現はしていません。
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