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『鬼滅の刃』でも現実でも「青い彼岸花」が見つからない科学的理由
植物ごとに戦略を持って多様に進化した花の色ですが、すべての花は3種類の色素の組み合わせで色がついています。無色からうすい黄色の原因となるフラボン類、黄色やオレンジ色の原因となる色素はカロチン類、赤色や青色、紫色の原因となるアントシアニン類です。ちなみに白い花は、本来は無色です。花びらの中に空気の小さな泡をたくさん含んでいて、光があたると光が散乱して、ビールの泡のように白く見えています。
バラは、かつては彼岸花と同じく青色がありませんでした。人気のある花なので、数十年前までは青みがかった花を持つ個体を丁寧に交配、交雑して少しずつ濃くしていきました。それでもなかなかうまくいかず、英語のブルーローズは「不可能」の比喩ともなっていました。
ブレイクスルーとなったのは、サントリーによる「花の青色遺伝子の特定」と「土壌細菌を使ったバラへの青色遺伝子の導入」です。1990年に始まったこのプロジェクトは、2004年に成功しました。園芸が始まって以来の悲願の達成に、青いバラの花言葉は「夢かなう」になりました。
青いバラの成功により、その後も、青いユリ、青いキク、黄色いアサガオなど、花の色にバイオテクノロジーを使った植物が続々と作成されています。
鬼滅の刃ブームが今後も続けば、「彼岸花を青くする」研究が進められる可能性は高いでしょう。開発に成功した時、青い彼岸花にはどんな花言葉がつけられるのでしょうか。鬼滅の刃の名言から選ばれるかもしれませんね。
※編集部注:以下、本文を一部変更致しました。(2021年11月4日16時34分)
変更前:彼岸花は、天然で三倍体という珍しい特徴を持った植物です。
変更後:日本の彼岸花は、三倍体という珍しい特徴を持った植物です。
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