コラム

日本でもAmazon Echo年内発売?既に業界は戦々恐々

2017年01月30日(月)15時00分

 この結果Alexaの音声コマンドでいろいろなことができるようになっている。音声でテレビをつけたり、照明を暗くしたり、ピザの配達を注文したり、どこに置いたか忘れたスマホを探したり、いろいろなことができる。

 例えば自動車と連携させれば、どんな感じになるのだろう。以下の動画を見てもらうのが一番早いが、出勤前にキッチンでコーヒーを飲みながら、車のエンジンとエアコンをかけておく、などといったことが可能になる。

 連携サービス数は、2015年9月には、14しかなかったのが、2016年9月には3000を超え、12月には5400を超えた。年明けのイベントでAmazonの幹部は「7000を超え、さらに多くのデバイスの発売が予定されている」と語っている。

【参考記事】アマゾンがコンビニ進出! Amazon Goは小売店の概念を180度変える

 自動車メーカー、家電メーカーが、Amazonをスマートホームの事実上のハブと認定したということだろう。多くのサードパーティが集まっているので、さらに多くのサードパーティが集まろうとしている。いわゆるネットワーク効果が起こり、正のスパイラル状態になっている。この状態になれば独り勝ち。後発が追いつき、追い抜くことは非常に困難になる。

スマホ全盛時代が終わる?

 日本でもいずれ発売になるのは間違いなさそうだが、それがいよいよ今年ではないかという噂が業界関係者の間で飛び交っている。友人のベンチャー企業の経営者は「うちのエンジニアに引き抜きの声がかかりました」と言っているし、別の経営者は「某関係者から年内発売が確定したという話を聞いた」と語っている。

 Echoが日本でも発売され、日本でも同様のヒット商品となれば、どのようなことが起こるのだろうか。友人のベンチャー経営者たちと議論してみると、多くの経営者が戦々恐々していることが分かる。

「音声コマンドの便利さに消費者が気付けば、もう後戻りはない。音声の時代が一気に広がっていくはず。スマホ全盛時代が終わるのではないか」。

「Amazonに対応していない家電製品は売れなくなる。Amazonは家電業界に非常に大きな影響力を持つようになる」。

「検索結果を一覧表示できるPCやスマホと違って、音声では上位1つ、2つしかリストアップされないだろう。どの会社、どの製品をその1、2社にするのか。Amazonで商品を販売している業者に対して、Amazonがものすごく大きな影響力を持つようになる」。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、新誘導技術搭載の弾道ミサイル実験

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、25年に2%目標まで低下へ=E

ビジネス

米国株式市場=ダウ終値で初の4万ドル台、利下げ観測
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story