コラム

共産党にひざまずき、少数民族を見下した「天安門事件」の闘士たち

2019年06月04日(火)06時35分

ただ経済規模は水増しされているとはいえ、大きくなったこと自体は否定できない。その経済を支えているものに、チベットや内モンゴルから産出するレアアースや、ウイグルの土地に広がる地下資源がある。

既にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世はインドに亡命し、モンゴル人エリートも文化大革命などでほとんど殺害された。今ではウイグル人を100万人単位で強制収容所に監禁。共産党は自由気ままに資源開発の名の下で略奪できる。

こうした華やかな中国イメージと悲惨な実態とのずれはどこから来ているのだろうか。中国政府は現状を全て「共産党の実績」「中華民族の偉大な復興」と誇っている。一方、日本やアメリカはいまだに「自由貿易体制に迎え入れたのが正しかったのか」「建設的関与とは何か」と議論するばかりだ。

そんな日米を「民主主義ほど時間を浪費する制度はない」と冷笑しながら、中国は自信満々で独自路線を歩んでいる。

<2019年6月11日号掲載>

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※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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