先進国から「泥棒」した技術で途上国支配 中国「盗用」史の舞台裏
中国は改革開放政策を80年代から進めながら、日本や欧米の先進技術を盗んで、自国企業を育ててきた。90年代後半に入ると、中国市場に進出する外国企業に「製品を売るなら、まずは技術を完全に提供せよ」と迫った。産業革命以降、他国が長年かけて磨き上げた技術を中国は瞬時に手に入れようと強要し、世界との異質性を示した。
小国に横柄な態度を取り、先進国から技術を盗み取る行為は、中国の国家的野心の表れだ。今や中国は日本と欧米から「泥棒」した技術を「わが国の独自開発」とラベルを貼り替えて世界市場を席巻している。気が付けば、人工知能(AI)や顔認証システムなど、最先端の科学技術は市民の生活向上よりも、国民13億人の日常生活を監視し、生来の権利を主張する少数民族ウイグル人弾圧の道具として使われるようになった。
米中がいざ戦えば、米同盟国側が不利な立場に立たされる、との予測すら出かねない今、手をこまねいていれば世界は中国の「新植民地」一色になるだろう。アメリカはインド太平洋諸国のインフラ事業を支援する対抗措置を打ち出し、日本もこうした構想に熱心だ。
APEC閉幕後、首脳宣言が採択されなかった背景について「2人の巨人」の反対があった、とパプアニューギニアのオニール首相は語った。首脳宣言の採択断念は、1993年のAPEC首脳会議発足後、初めて。世界は欧米先進諸国対「技術泥棒」中国という両陣営の対立に神経をとがらせている。
今後も、米中のグレート・ゲームはインド太平洋を舞台に繰り広げられるだろう。
<2018年12月4日号掲載>
※12月4日号は「インターネットを超えるブロックチェーン」特集。ビットコインを生んだブロックチェーン技術は、仮想通貨だけにとどまるものではない。大企業や各国政府も採用を始め、データ記録方法の大革命が始まっているが、一体どんな影響を世界にもたらすのか。革新的技術の「これまで」と「これから」に迫った。
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