ローマ法王が中国と握手して「悪魔の取引」を結ぶ日
法王は、共産党政権下で神と隔絶した信者を救済したいらしい。だが中国にはクリスチャンに配慮し、人民に信教の自由を与える気などない。バチカンと台湾との外交関係を断ちたい、というのがその真意だ。
バチカンはヨーロッパで唯一、台湾と外交関係を持つ国というだけではない。まさに世界の頂点に立つ法王庁の決断が、台湾の生存空間を狭め、弱り切った外交活動にとどめを刺すことになるからだ。
中国共産党にとって、国際社会と交わした約束など守るに値しない。97年の香港返還で共産党は、「高度の自治は50年間変わらない」と、イギリスと合意。今では香港で自治は形骸化し、民主化と自由を維持したい住民が弾圧されている。
それでもバチカンが中国と握手しようとするなら、まさに悪魔と取引しようとする愚行としか言いようがない。
<本誌2018年3月20日号掲載>
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
旧植民地の心の傷に思いを馳せない日本の出版社 2023.11.04
777年前に招待状を出したモンゴルを、ローマ教皇が訪問する本当の狙い 2023.08.26
「チンギス・ハーンの子孫の国」へも越境法執行を始めた中国警察 2023.05.18
上海で拘束された台湾「八旗文化」編集長、何が中国を刺激したのか? 2023.05.01
中国による台湾言論界の弾圧が始まった 2023.04.21
ウクライナ戦争は欧米と日本の「反ロ親中」思想が招いた 2022.03.16