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「フラリーマン」の取扱説明書
外回りをしていれば声を掛けられずにすんだのに、社内にいて顔を見られるから声が掛かる。そして必要もない会議に出席させられたり、余分な仕事を任されたりして、だんだん外回りの時間もなくなっていくのです。
「早く帰ってきたんだったら」は禁句
フラリーマンの心理はこのような営業と同じです。
家にはやく帰らなければ思いつかないような仕事を、奥様が思いついてしまうのです。だから、フラリーマンは面白くないのです。
「はやく帰ってきたんだったら、本なんか読んでないで、子どもをお風呂に入れてちょうだい」
「はやく帰ってきたんだったら、部屋の片づけでもしてよ。私はお手伝いさんじゃないんだから」
「はやく帰ってきたんだったら、お皿ぐらい自分で洗って。なんでもかんでも私にやらせないでよ」
「はやく帰ってきたんだから」「はやく帰ってきたんだから」とばかり言われると、「はやく帰らなければ、やらなくてもいいんだよな」という感情が湧き上がってくるのは当然です。
とくに最近のサラリーマンは、上司から頭ごなしに命令されることがなくなりました。今のご時世、多くの管理職は最低限の教育を受けていますから、部下が「やらされ感」を覚えないように、相手とのペースを合わせたコミュニケーションを繰り返し、関係構築しようと心がけます。
そういう社内風土に慣れた男性が、はやく帰ったばかりに「やってあたりまえでしょ」と上から目線で言われると、強い違和感を覚えるのです。
問題は「やらされている」感じ
勘違いしてはならないのは、子どもを風呂に入れること、部屋の片づけ、皿洗いなど......奥様の手伝いを決して面倒と捉えないことです。上司と部下との関係と同じ。上司の接し方が悪いから、部下のモチベーションが上がらない。こういうことは、よくある話です。
私の中学生の息子もそうです。朝早起きなので、5時ぐらいに起きて好きな絵を描いていたら妻に「はやく起きたんだったら、お母さんの手伝いをしてよ」と言われつづけました。その結果、息子は早く起きなくなってしまったのです。
「はやく起きなければ手伝わせないことを、手伝うように言わないようにしよう」
と妻に話したところ、しばらくして息子はまた早起きになりました。たまに妻が「手伝ってくれないかなァ」と言うと、息子は喜んで朝の支度を手伝うようになりました。同じ結果を求めるなら、工夫してお互いが気持ちよくできる手段を選択すべきです。
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