コラム

「フラリーマン」の取扱説明書

2019年07月18日(木)16時45分

外回りをしていれば声を掛けられずにすんだのに、社内にいて顔を見られるから声が掛かる。そして必要もない会議に出席させられたり、余分な仕事を任されたりして、だんだん外回りの時間もなくなっていくのです。

「早く帰ってきたんだったら」は禁句

フラリーマンの心理はこのような営業と同じです。

家にはやく帰らなければ思いつかないような仕事を、奥様が思いついてしまうのです。だから、フラリーマンは面白くないのです。

「はやく帰ってきたんだったら、本なんか読んでないで、子どもをお風呂に入れてちょうだい」

「はやく帰ってきたんだったら、部屋の片づけでもしてよ。私はお手伝いさんじゃないんだから」

「はやく帰ってきたんだったら、お皿ぐらい自分で洗って。なんでもかんでも私にやらせないでよ」

「はやく帰ってきたんだから」「はやく帰ってきたんだから」とばかり言われると、「はやく帰らなければ、やらなくてもいいんだよな」という感情が湧き上がってくるのは当然です。

とくに最近のサラリーマンは、上司から頭ごなしに命令されることがなくなりました。今のご時世、多くの管理職は最低限の教育を受けていますから、部下が「やらされ感」を覚えないように、相手とのペースを合わせたコミュニケーションを繰り返し、関係構築しようと心がけます。

そういう社内風土に慣れた男性が、はやく帰ったばかりに「やってあたりまえでしょ」と上から目線で言われると、強い違和感を覚えるのです。

問題は「やらされている」感じ

勘違いしてはならないのは、子どもを風呂に入れること、部屋の片づけ、皿洗いなど......奥様の手伝いを決して面倒と捉えないことです。上司と部下との関係と同じ。上司の接し方が悪いから、部下のモチベーションが上がらない。こういうことは、よくある話です。

私の中学生の息子もそうです。朝早起きなので、5時ぐらいに起きて好きな絵を描いていたら妻に「はやく起きたんだったら、お母さんの手伝いをしてよ」と言われつづけました。その結果、息子は早く起きなくなってしまったのです。

「はやく起きなければ手伝わせないことを、手伝うように言わないようにしよう」

と妻に話したところ、しばらくして息子はまた早起きになりました。たまに妻が「手伝ってくれないかなァ」と言うと、息子は喜んで朝の支度を手伝うようになりました。同じ結果を求めるなら、工夫してお互いが気持ちよくできる手段を選択すべきです。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story