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プーチン盟友の娘「爆殺事件」の裏にある残虐ウェブサイトの「暗殺リスト」
殺害された娘の写真の前で演説を行うドゥーギン(8月23日、モスクワ) Maxim Shemetov-REUTERS
<ロシア極右思想家ドゥーギンの娘が殺害された事件は誰の仕業だったのか。ロシアの国連大使が示したある不気味なサイトが注目を集めている>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に影響力を持つと言われる国家主義思想家のアレクサンドル・ドゥーギンの娘で、ジャーナリストだったダリヤ・ドゥーギナがモスクワ近郊で殺害されたのは8月20日のことだった。
彼女が運転していた四輪駆動車が爆破され、その映像などもSNSなどで拡散された。ただこのニュースは誰が暗殺を企てたのかが議論になっている。
ロシアの国内情報機関であるFSB(ロシア連邦保安局)の捜査によると、犯人はナタリア・ボブクという43歳のウクライナ人女性。爆破事件の1カ月前に、12歳の娘と一緒にロシアに入国し、暗殺の準備を行ったという。ジャーナリストのドゥーギナが、2月24日に始まったロシアが「特別作戦」と呼ぶウクライナ侵攻を支持する発言をテレビ番組などで行っていたため、ウクライナから狙われたのだとロシア側は指摘している。
メディアでは、この暗殺計画は思想家の父ドゥーギンを狙っていたが娘が代わって暗殺されたとする声も出ている。だが、FSBの関係者がタス通信に語っているところでは、狙いは初めから娘のドゥーギナだった、と述べている。
一方のウクライナ側はこのFSBの主張を否定している。ウクライナのミハイロ・ポドリヤク大統領府長官顧問は「ロシアの虚構のプロパガンダ」と糾弾している。ロシア側が娘を狙った暗殺を主張する背景として、ウクライナ側の「残虐さ」を主張する意図もあるようだ。
ドゥーギナの暗殺の後、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使が記者に対して、あるウクライナ組織のウェブサイトを糾弾した。
「暗殺リスト」を掲載するウェブサイト
そのサイトは「Myrotvorets(ミロトフォレッツ)」。2014年からウクライナを拠点にロシアを厳しく批判しているサイトで、非営利組織が運営している。サイトには、一部のジャーナリストなどから「Kill List(暗殺リスト)」と呼ばれる、反ウクライナの発言や活動をしている人物のリストを掲載している。
そのサイトに、ドゥーギナがリストアップされていたのである。
つい先日、英ロックバンドのピンクフロイドの元メンバーで有名ミュージシャンのロジャー・ウォーターズがそのミロトフォレッツのリストに掲載された。ウォーターズは、バイデン大統領が「戦争犯罪者」で「ウクライナの火に油を注いでいる」と述べたり、NATO(北大西洋条約機構)を批判するようなコメントをしており、それが反ウクライナ的でロシア寄りだと非難されたからだ。
これまでには、このリストに掲載されたジャーナリストなどが殺害されていることから、EU(欧州連合)や人権団体などから、サイトを叱責するような声も上がっている。
この暗殺事件後に「Myrotvorets(ミロトフォレッツ)」の暗殺リストが示した反応とは? より詳しい情報を「スパイチャンネル~山田敏弘」でさらに解説しているので、ぜひご覧いただきたい。
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