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ヨシヒロミウラ|ベトナム

ハイブリッド変異株じゃなかった 第4波ベトナムの新型コロナ

自宅近くの食堂には食事時になるとグラブフードというデリバリーのドライバーが集まり、店はオンライン受注した食事をパッキングしてドライバーに渡す。現在ほとんどの飲食店のドアには、「BÁN MANG VỀ」と張り紙がある。意味は「持帰り販売」。この店の裏手には店舗を構えず、厨房だけのデリバリー注文専用の店もあり、このスタイルで営業する店は増えている。(筆者撮影)

ベトナムでインドとベトナムのハイブリッド株が発見されたと、ベトナムの保健省が発表(2021.5.29)し、1日で世界を駆け巡ったニュースとなりましたが、さらなる検査でハイブリッド変異種では無く、インド種に属するものだったとベトナムで報道がありました。

日本では乙武洋匡氏が「ラスボス登場か!?」とツイートして話題になったりと、多くの人が驚きを隠せませんでしたが、本当にハイブリッド変異種がベトナムで発現していなくてよかったです。

しかし。そのインド種にはいくつかの変異があるため、今後も数週間の監視が必要であるとの事。

今ベトナムで蔓延しているインド型の変異種は急速に広がる危険な種であり、バクザンとバクニンのクラスターの発生はこの変異種によって起こされていると言う。

WHO: ベトナムで発見された新型コロナ株はインド株に属している


ベトナムのWHO事務所代表は、ベトナムで最近記録された新型コロナの新株はハイブリッドでは無く、インド株B.1.617.2に属していると述べた。

WHO代表であるキドン・パク博士は、次のように述べています。「WHOによって定義されたように、現在ベトナムには新しいハイブリッド株はありません。検出された株はDelta(インドで最初に出現した株)であり、またさらに1つの変異があり、調査する必要があり、今後数週間監視する。」

パク氏はまた、デルタ突然変異は非常に危険であり、急速に広がることを強く述べた。オーストラリアのグリフィス大学応用医療経済学センターのシニアフェローであるソン・二エム氏もそれに同意した。

「私の知る限り、バクザンとバクニンの発生は主にインドの突然変異によって引き起こされている」とソン・ニエム氏は述べた。

5月29日、グエン・タイン・ロン保健相は、猛威を振るっている新型コロナの一部の患者について、インドと英国からの変異体の特徴を含む新株の記録を発表しました。具体的には、インド株であるが、英国株の遺伝子変異も持っているとの事。

現在の患者のウイルス遺伝子配列決定は、インドと株イギリス株の二つの変異である事を明らかにしました。その中で、インドからの菌株が最も一般的であり、バクニン、バクザン、ハノイ、ダナンと他のいくつかの地域で確認されています。ロン大臣は、この感染拡大の特徴を、ウイルスが空中に広く強く広がると評価しました。

パク氏によると、バクニンとバクザンの感染拡大がいつ終わるかを予測するのは難しいと言う。感染クラスターは主に、労働者が働き、食事をし、共に暮らしている工業地帯にあるからです。

4月末以降、バクニンにある65,000人の従業員を抱える400社以上の企業が工場での生産を停止しました。バクザンでは、5月18日に4つの工業団地を閉鎖しなければならず、14万人の労働者の仕事に影響を及ぼした。バクザン省は、全ての工場の労働者を検疫するよう経営者に命じた。

今週、労働者への予防接種が始まったばかりであるため、ベトナムは、検査、追跡、隔離などの厳格な検疫措置を引き続き実施する必要があるとパク氏は述べた。

ベトナムは、新型コロナの感染拡大が始まって以来、新型コロナの予防に最も成功した国の1つです。現在の課題は、ワクチン不足に直面してワクチン接種を加速することです。

「Covaxからのワクチン供給は解決策の1つです。ワクチン危機は3月と4月頃に始まりました。これは主に、主にインドで発生した新型コロナによるである」とパク氏は述べている

VN EXPRESS 2021.6.3から引用

この原稿を書いている6月19日現在のベトナムの新型コロナの感染者累計は、12508名、死者62名で、感染が拡大しないよう封じ込みをしています。

ハイブリッド変異種では無かったですが、第四波では感染力の強いインド株が中心に猛威を振るい、第三波までとは違い、封込み対策は今まで以上に困難になっている事には変わりません。

現在の第四波でのハノイ市内の感染確認は464名、工業団地内でクラスターが発生している北部バクザン省では5092名、同じく工業団地のクラスターが発生しているバクニン省では1048名、宗教団体が中心のクラスターが発生したホーチミン市内は1386名。

飲食店はデリバリーかテイクアウトのみでの営業で、映画館・カラオケ・理美容室・スパ等の営業も中止状態。

ワクチンに関しては、ベトナム政府が国内でワクチン基金を創設し、目標とする7,500万人向けの1億5,000万回分のワクチンを接種用に25兆2,000億ドン(約1,200億円)必要としている。このうち、約16兆ドンを国の財政支出で、さらに6月5日時点では7兆6,360億ドンの寄付金が基金に集まり,今も多くのベトナムの企業や人々が基金に募金している。

そして日本やアメリカからワクチン寄付等があります。

さらにベトナム国内でのワクチン製造も始まろうとしています。

1波から4波まで死者累計を62名に抑え、他国からの援助もありますが、自力でワクチン調達や製造を行い、新型コロナの封込みをし続ける強い意志には本当に心打たれる。自分も微力ながらベトナムの力になりたいと考えています。

 

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著者プロフィール
ヨシヒロミウラ

ベトナムハノイ市在住。北海道江別市出身。武蔵大学経済学部経営学科卒業。2017年に国際交流基金日本語パートナーズとしてハノイに派遣。ベトナムの人々と社会に魅了されベトナム定住。現在進行形のベトナム事情を執筆。ベトナム情報ブログ「ベトナムの日本人」と北海道江別市の情報サイト「江別市民ニュース」も運営。ベトナムハノイ市の日本食ネットスーパー「アクルヒハノイネットスーパー」応援係。えべつ観光特使として北海道江別市の納豆をベトナムへ輸出コーディネイト。ベトナムと日本・北海道を繋げる。ツイッター @yoshihiro_x

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