ベトナムと日本人
ベトナム人にとって東京五輪とは? 森氏辞任騒動の反応
ベトナムで東京オリンピックについての一般的なニュース(2021年に延期、森氏の辞任、開会式責任者の退任、海外観客受け入れ断念、聖火リレー開始など)は一応報道されていますが、
報道内容は事実を伝えるだけのあっさりした内容です。
また、ベトナムの人々の間で東京オリンピックについて特に話題になっている様子はありません。
ベトナム人にとって、数ある海外ニュースの中の一つとして扱われてるだけのようです。
ベトナムで東京五輪の報道はどうされているの?
では、どうして大きな話題にならないのでしょうか?
2つの理由が考えられると思います。
1. 東京オリンピックの観戦チケットを購入したベトナム人が少ない
日本へ観光するベトナム人は増加していますが、まだ団体旅行が多く、個人旅行が出来るビザを取得できるベトナム人はそう多くありません。
ですからオリンピック観戦旅行をする予定だったベトナム人は少ないと思われます。
なので観戦チケット払い戻し開始に関心があるベトナム人が少なく、このニュースも盛り上がりませんでした。
2. 世界と日本のコロナ感染状況を考えると、予定通りに開催するのは難しいと考えるベトナム人が多い
ベトナムは台湾と並んで新型コロナの感染拡大収束に成功している国です。
ベトナムに住んでいて肌で感じるんですが、ベトナム人は新型コロナ感染拡大防止にとても積極的です。
例えば、カラオケ店やバー等が営業停止となれば,反論する人はいなく、政府の指示で一斉に停止します(罰金があるから指示に従うしかないという事も関係しているとは思いますが)。
そして学校もすぐ閉鎖する。政府の指示がありますが、これに関しては母親たちが率先して子供たちを学校へ行かせません。
子供が家にいる間は家族の誰かが子供達を見ていなければならなく、負担が大きいですが、それでもコロナが少しでも広がる(ベトナム国内の市中感染が1日約5-6人発生レベル)と、親が子供を学校へ行かせたくないのです。
新型コロナ感染拡大防止に人々が積極的で、市中感染の抑え込みに成功しているベトナム。
なので新型コロナに関して、私にはベトナムに住んでいて安心感しかありません。
コロナ禍の今もベトナムから技能実習生が日本へ渡ってはいますが、コロナ禍になってから新たに日本語を勉強し、技能実習生として日本へ行こうとするベトナム人は相当減少しています。
べトナム人にとっても、現状の日本の新型コロナの感染状況下でオリンピックが開催できる、また観客を入れて競技をする事はやはり難しいと考える人が多いと思われます。
皆さんはどういう理由からだと考えますか?
森喜朗氏の辞任についてベトナムのネット民の反応
森氏の辞任もニュースになっているんですが、他の東京オリンピック関係のニュースに比べて、これに関するニュースサイトへのベトナムのネット民のコメントは多かったんです。
しかも、森氏を擁護するコメントが多かったのが興味深い。
欧米の反応と全く違う。。。。少し紹介します。
●「おじいさん、ありがとう!おじいさんはみんなが思ってる事を言ったが、言う時を間違った。」
●「ベトナムでは"女性一人とアヒルが二羽で市場が出来る"と言われています。不思議なことに、この星のあちらこちらでは動物的本能のせいか、女性はよくおしゃべりをしていますよ。」
●「このおじいさんは救いようがありません。いつも正しい事を言えばよいという訳では無いんです。」
●「科学的に見て、このおじいさんが言っていることは真実です。」
●「正しいことを言っても常に受け入れられるという訳ではありません。」
●「おじいさんは悪かったかもしれない。でも個人的には、もしうちの台所でおじいさんがそう言ったなら、おじいさんが言った事は間違ってないと感じるな。」
などと、擁護するか、言う場所を間違えたけど言ってる事は正しいよねと言ったコメントが目立ちました。
年配者を思いやる文化が強いベトナムなので、「年寄りをそういじめるな」という意識も働いているのでしょうか?
また、ベトナム人にとっては海外ニュースなので、擁護する意見が多いことについては、これが問題になった詳しい背景等がよくわかっていない事も理由にあると思いますが、文化が違うと捉え方が違うという点が露わになっていて、本当に興味深いです。
ちなみに、ベトナムでは年に2回も「女性の日」があり、恋人や妻、母親、祖母、同僚の女性など、すべての女性に感謝し、花などのプレゼントを贈る習慣があるくらいで、ベトナム人男性の女性蔑視が特に強いという事はありません。
逆にレディファーストが日常の習慣として身についているぐらい女性にやさしいんですよ。
参考ウェブサイト VN Express
著者プロフィール
- ヨシヒロミウラ
ベトナムハノイ市在住。北海道江別市出身。武蔵大学経済学部経営学科卒業。2017年に国際交流基金日本語パートナーズとしてハノイに派遣。ベトナムの人々と社会に魅了されベトナム定住。現在進行形のベトナム事情を執筆。ベトナム情報ブログ「ベトナムの日本人」と北海道江別市の情報サイト「江別市民ニュース」も運営。ベトナムハノイ市の日本食ネットスーパー「アクルヒハノイネットスーパー」応援係。えべつ観光特使として北海道江別市の納豆をベトナムへ輸出コーディネイト。ベトナムと日本・北海道を繋げる。ツイッター @yoshihiro_x