ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々
映画『ミャンマーダイヤリーズ』絶賛公開中のニュースを受けて
おはようございます。
ミャンマーエンターテインメントプロデューサー新町が、ヤンゴンよりお送りします。
ほぼ一カ月ぶりの連載になりますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私の方は生活環境がガラリと変わってしまい、未だにうまくリズムが付けられない日々を送っています。
ミャンマーでは雨期真っ盛り。
停電が毎日あったり、不便な事も多いですが、何とか元気にやっております。
引き続きこちらからミャンマーの事を皆さんにお伝えできればと思います。
本題の前にお知らせを一つ。
毎週水曜日、日本時間21時より『ミャンマー言いたい砲台ラヂオ』と題しましてクラブハウス、そしてFBで生放送をやっています。
是非ご参加ください。
アーカイブも残ります。
それでは本題です。
2カ月前にも記事で書いた『ミャンマーダイヤリーズ』がついに8月5日より公開しました。
過去の記事はこちらから
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/shimmachi/2023/06/myanmar-diaries.php
以下公式HPより引用
軍事クーデター以降、ジャーナリストや映画制作者の逮捕が続く厳しい状況下でも作品を作り続けるため、若手ミャンマー人作家たちが自らの匿名性を維持した「ミャンマー・フィルム・コレクティブ」を結成。本作は、10人が参加し、ミャンマーに縁のあるオランダ在住プロデューサーらの支援のもと制作された。彼らは自由が奪われたこの国で、現在声を上げることのできない人々に声を与えることを目的としている。
私は昨年まだ日本公開が決まる前から試写させてもらい、その時はまだ英語字幕だけだったのですが、今回日本語字幕がついたもので改めて試写させていただきました。
改めて映画を観て感じたのは、この映像には全て様々な「願い」が込められているという事でした。
70分という映画の時間内ではとても伝え切れない想いを願いとしてこの物語へと託したのだと作り手たちの気持ちを想像します。
当たり前の事ではあるのですが、大事な事が一つあります。
この映画の撮影自体は実際には今より随分前です。
クーデター以降の大変なミャンマーを表した作品ではありますが、「今」ではありません。
色んな意味で「今」はもっと大変な状況になっています。
映像にした時点で既に過去の事として伝わる訳ですが、ミャンマーをよく知らない方が初めて観た時にはそこから一気に今のミャンマーまで想いを馳せてもらえるのか?
ここから新しい動きが産まれるのか?
勝手ながらそんな不安も頭をよぎります。
沢山の人に届いて欲しい、沢山の人々に伝わって欲しいのですが、そこがゴールではなくそこから始まらなければいけないという思いが私を焦らせます。
私はテンターテインメントの力を信じる人間ではありますが、果たしてこの物語がどのように伝播し、今ミャンマーで苦しんでいる人々、それを何とかしようと国内外で奮闘している人の力になっていけるのかは全くの未知数です。
ミャンマーから発したこの切なる想いが遠く世界に広がり再び何かしらの力になってこの国に返ってくることを願っています。
映画公開に辺り一つ嬉しい事がありました。
初日からここまで沢山の方が映画館に詰めかけてくれているという報告を受けたのと、パンフレットの売れ行きが凄く良いという事です。
回によっては映画を観た半分くらいの方々がパンフレットを購入してくださっているそうです。
ドキュメンタリーの部分があり、そしてフィクションの部分があるこの作品は一見すると特にミャンマーに詳しくない人にとっては理解しがたい部分が多いと思います。
それでも何かが伝わる作品には勿論なっているのですが、その作り手と観客の隙間を埋めるものがこのパンフレットになっています。
僭越ながら私も寄稿させてもらっています。
解説というにはおこがましいのですが、2014年からミャンマーに住み2度の選挙、そしてクーデター発生をヤンゴンで経験した事が映画を観た皆さんの足りないピースを埋める事になれば幸いだと思います。
私が担当したのはほんの一部で、その他にも今回、決して表に出ない(出せない)監督たちのインタビューなど読み応えのある内容となっています。
是非映画館に足を運んだ際には合わせて購入していただけたらと思っています。
ミャンマーダイヤリーズの日本での興行の収益はミャンマーへの支援に回されます。
その為に私を含め沢山の方々の想いが詰まっている作品となりました。
平和とは何か、ミャンマーとはどんな国なのか?
クーデター禍という大変な事態の中生きる人々の息遣いを感じていただけたらと思います。
それではまた。
著者プロフィール
- 新町智哉
映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。
Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan