南米街角クラブ
【日本⇔ブラジル】10年越しの移住作戦!ブラジリアにて夫と日本食レストランを営む杉浦敦子さん
|35種類以上の手作り調味料を使った旬の日本食
現地で日本食と言うと、どうしても寿司のイメージが抜けきれないが、アコさん夫婦のお店には「寿司、刺身はありません!」とレジ横に書かれている。
そのため、お店のメニューの詳細やInstagramは非常に充実しており、日替わり定食から定番メニュー、更には今現在日本の定食屋で流行っているメニューをいち早く取り入れ、それらは全てポルトガル語でわかりやすく書かれている。
使っている食材や食べ方(つけ麺など、ブラジルでまだ定着していないメニューもあるため)がここまで丁寧に書かれているのは初めて見た。
駐在員が多いサンパウロと違って、お店のお客様は非日系のブラジル人が多い。
アコさんも苦手だった語学を克服し、私がお店を訪ねた際もお客様にポルトガル語でメニューの説明をしていた。
夫の崇さんはできる限り化学調味料を使わないことに拘り、試行錯誤しながらブラジルにある素材で日本食を提供できるように日々研究中。
オープンから約半年後には、JETRO主催の『日本産食材サポーター店』にも認定された。
現在instagramには3000人以上のフォロワーがおり、地元紙の取材を受けたり、口コミで人気が広まっている。
アコさんは「ブラジル人からしたら未知の世界でしょうが、天ぷら、寿司、刺身だけが日本食じゃないんだということを知ってもらうために、挑戦しながら出しています。」と話す。
|自分を活かせる場所を自分でみつける
ブラジル移住は、それまでの彼女のキャリアとはまた別の人生を歩むきっかけとなったが、アロマセラピストをしていた時に培ったお客様一人一人への配慮をレストランでの接客に活かし、やりがいを感じながら働いていると話してくれた。
その明るさは息子の栄くんにも受け継がれたのか、彼がお店にいるときは、お客様との会話も笑いが絶えないとか。
パンデミックで外出ができなくなってからは、ストレス発散にと思い切ってピアノを購入。
中学校2年生まで習っていたピアノは、音大進学を勧められていたほど。 今は時間があればピアノを弾いており、自分と見つめ合う良い機会となっているそうだ。ブラジル音楽にも挑戦中で、いつか生演奏を披露し、聴く人を楽しませたいと話してくれた。
私自身ブラジルが好きで移住したこともあり、こうしたきっかけでブラジルに辿り着いたアコさんの話に心打たれた。
いろんな人生の形があるというのは、人種が混じりあうブラジル、中でも今も多くの移民が暮らすサンパウロで実感したことだが、ここで暮らす人々の自ら幸せを見出すパワーには本当に圧巻される。
アコさんもそのパワーの持ち主で、自分を奮い立たせながら今を生きるブラジルの人々に感化されながら、持ち前のポジティブさを発揮してブラジル社会で生きている。
今後の目標を訪ねると、「これからも家族3人幸せに暮らすことかな。」と笑顔で話してくれた。
【最後に】
初めてお店に伺った日、突然インタビューをお願いしたにも関わらず引き受けてくださったアコさん、本当にありがとうございました。トンカツ定食、美味しかったです!(何より手作りソースが!)お店はブラジリアにあります。
UMAMI DELI
CLS 414 BL B - LOJA 31 - ASA SUL - BRASÍLIA/DF
Instagram https://www.instagram.com/umami.deli.bsb/
著者プロフィール
- 島田愛加
音楽家。ボサノヴァに心奪われ2014年よりサンパウロ州在住。同州立タトゥイ音楽院ブラジル音楽/Jazz科卒業。在学中に出会った南米各国からの留学生の影響で、今ではすっかり南米の虜に。ブラジルを中心に街角で起こっている出来事をありのままにお伝えします。2020年1月から11月までプロジェクトのためペルー共和国の首都リマに滞在。
Webサイト:https://lit.link/aikashimada
Twitter: @aika_shimada