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スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

永田賢|インド

[備忘録]日印国交樹立70周年に向けた2国間関係のおさらい

2.菅総理時代から岸田総理へ:日印電話首脳会談~訪米時における首脳会談~クアッド体制へ

上記のような変遷を経て、2国間関係は重要なものへと昇華してきました。菅総理時代のスタイルもその路線を踏襲していると言えるでしょう。

ここでは、やや結果からの推察にはなってしまいますが、現在アメリカ合衆国・インド・オーストラリア・日本で構成されているクアッド構想の元になるようなアイディアが提示されています。キーワードは「自由で開かれたインド太平洋」でしょう。

1 菅総理大臣から、内閣総理大臣就任の挨拶を述べるとともに、モディ首相からの祝辞メッセージに謝意を表し、モディ首相と安倍前総理大臣の信頼関係の下で飛躍的に日印関係を強化させてきたことに言及しました。両首脳は、引き続き、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を更なる高みに引き上げていくことで一致しました。

2 菅総理大臣からは、安全保障、経済、経済協力といった二国間協力に加え、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて両国で役割を果たしていきたい旨述べ、日米豪印をはじめとするマルチの枠組みや国連等での協力、また、拉致問題を含む北朝鮮への対応についても協力を進めたい旨述べました。モディ首相からは、日印両国の連携を緊密化させていきたい旨の発言があり、両首脳は、高速鉄道事業を着実に前進させていくことを確認するとともに、特定技能制度に関する協力覚書が近く署名予定であることを歓迎し、2022年の日印国交樹立70周年も念頭に、人的交流を促進していくことを確認しました。

引用元:日印首脳電話会談|外務省 (mofa.go.jp)より

菅総理退任前最後の首脳会談では、70周年に向けてより一層協力していく旨が確認され、様々な施策が走っていくことが想像できそうな内容となったと感じられます。

二国間関係については、両首脳は、引き続き、新型コロナ感染症への対応で連携していくことで一致し、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)の早期開催をはじめとする安全保障分野や、デジタル、グリーン、保健、連結性強化等の経済・経済協力分野での協力を進めていくことを確認しました。その中で、菅総理からは、安全で信頼のある5Gや海底ケーブル、産業競争力強化とサプライチェーン強靭化、現実的なエネルギー・トランジッションの実現、特定技能制度に基づくインドからの人材の受入れやIT人材交流の活性化、インド北東部開発等の具体的な協力の可能性に言及しました。両首脳はまた、日印協力の象徴的なプロジェクトである高速鉄道事業の着実な進展に向けて協力を進めていくことを改めて確認しました。最後に、2022年の日印国交樹立70周年に「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」としての日印関係の更なる飛躍に向けた様々な取組を進めていくことで一致しました。

引用元:日印首脳会談|外務省 (mofa.go.jp)より

そして、総裁選が終わり、岸田総理誕生&組閣が報じられるようになってきました。

岸田総理も外務大臣時代に訪印しており、以下のように日印関係についての言及があり、特別的戦略パートナーシップの更なる深化を志向した政策になると想定されます。「インド太平洋の時代」という文言からもあるように、日印の協力を以て同地域平和・発展への貢献を果たしていくという方針が推察できます。

第三次安倍内閣で外務大臣再任時に真っ先に訪問したのがインドということで、岸田総理もインドを重視していると想定でき、以下の3点の説明で日印関係の深化が重要な発展をもたらすと提唱されています。

「価値と精神」「価値」と「精神」の両面において,日印は地域を代表する国であり,それ故地域を牽引していくことが可能なのです。それが,日印のパートナーシップが特別な所以の一つであります。

Vibrantな(活力ある)経済」強化の進む日印経済関係も,インド太平洋地域全体に裨益するものへと昇華させていくべきです。南アジア域内の経済連結性を強化するとともに,南アジアと東南アジアの連結性を,海,陸の両面から強化し,これらの地域を一つの巨大な経済圏として結合していくことが重要です。

「開かれ安定した海洋」共に海洋国家であるインドと日本は,シーレーンの安全に死活的利益を託す国です。国際法に基づいた主張,主張を通すために「力」を用いない,紛争の平和的解決,という安倍総理が提唱した「海における法の支配の三原則」が徹底されることが,この地域の平和と安定の基盤となることは論をまちません。

抜粋&引用元:岸田外務大臣スピーチ「インド太平洋時代のための特別なパートナーシップ」|外務省 (mofa.go.jp)より

組閣が完了した岸田総理がどのような外交方針を以て臨むのか、モディ首相との電話会談ではどのようなテーマが話し合われるのか、菅総理訪米で確認されたクアッド体制がどうなっていくのか、気になる点は多いですが、引き続き現地から注視していきたいと思います!

次回の記事では、「クアッド」の全容と日印両国がどのように関与しているか紹介してみます。

 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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