スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~
コロナ第二波に伴うベンガルールでのロックダウン発動:その2
先日の記事では、初動段階でベンガルールにおけるロックダウン発令内容とインドにおけるCOVID19の概況をお伝えしました。
今日も外務省から以下のような注意喚起メールがきました。
【ポイント】
インド国内の新型コロナウイルスの感染状況が一層厳しくなっており、医療提供体制が更にひっ迫するおそれがあります。このような状況を踏まえ、日本への一時帰国等を御検討中の方は、検査証明の取得等、出国のための手続きを早めに進めてください。また、現時点において一時帰国を検討されていない方につきましても、今後の新型コロナウイルスの感染状況の推移に十分注意し、一時帰国を含めた対応を予め御検討ください。
私が住んでいるベンガルールでは、体感レベルにおいてはまだ逼迫していないのかなぁという所感を抱いておりますが、デリー近辺だと、病床不足、酸素ボンベ不足、葬儀場不足、感染者爆増といった情報やTwitterでの支援要請が寄せられてきております。
【Twitterでの投稿凡例】
病院で酸素が足りておらず、支援を求める旨の投稿@ニューデリー
葬儀場で葬儀が追いつかず遺体があふれているシーン@ニューデリー
引用元:Twitter
ベンガルールも予断を許さない状態(感染者数が増加している)でありますので、デリーのような状態になってしまうことも想定されます。
1.インドからの入国を制限している国(5月2日時点)
各国もインドからの入国制限を掛けつつあるので、以下分かる範囲でまとめてみました。
アメリカ合衆国:インドからの入国を禁止
米政権は移民国籍法212条(f)項に基づき、過去14日以内にインドに滞在した外国人の入国を禁じる方針。航空会社に対しては既にこの決定を伝えたという。
オーストラリア:インドからの入国を禁止
1日に出した声明で、インドに過去14日間以内に滞在した人物は3日の時点で豪州入国を拒まれると発表。入国を試みた場合、家畜や農作物などへの病原体侵入を防止する法令に基づき、最大で禁錮5年の処罰が下される可能性があると警告した
カンボジア:インドからの入国を禁止
過去3週間以内にインドでの滞在・渡航歴があるすべての人を対象に、カンボジアへの入国を禁止する。
タイ:インドからの入国を実質的に禁止
在インドのタイ大使館は4月25日、タイ国籍を有さない外国人がタイに入国する際に必要な書類の入国許可書(COE)の発行を一時的に中断すると発表、インドからタイへの外国人の入国を実質的に禁止した。タイ人の帰国は許可する。この措置は5月1日到着便から適用となる。
引用元:新型コロナ感染拡大のインドからの外国人入国を実質的に禁止(タイ) | ビジネス短信 - ジェトロ (jetro.go.jp)
日本でも水際対策が強化されているので、入国禁止も視野に入った検討がなされていると推察されます。
●上記3か国・地域からのすべての入国者及び帰国者については、これまでは自宅等で入国後14日間の待機をしていただいてきたところですが、今後は、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で待機いただき、入国後3日目に改めて検査を受けていただくことになります。その上で、陰性と判定された方については、検疫所が確保する宿泊施設を退所し、入国後14日間の残りの期間を、自宅等で待機していただくことになります。
2.現状でのベンガルール
ロックダウン発令後、朝6時から朝10時までは生活必需品の買い出しは許可されているので、薬局とスーパーに行ってきました。
体感としては、道中の混雑具合はそこまでひどくなく、交通量は全般的に減少している印象です。
薬局ではソーシャルディスタンスによる購買が求められました。
スーパーについては、1人出たら、1人入ることが可能というような感じでコントロールしていましたが、列ができており、やや混雑している印象を受けました。
お店によっては密になっている箇所もありましたので、時間帯の工夫やデリバリーの有効活用も必要と感じました。
(ベンガルール市街部写真、筆者撮影)
(ベンガルール八百屋の状況、かなり密、筆者撮影)
(ベンガルール市街部、混雑する病院、筆者撮影)
3.今後の展望
本日付で、地方選挙(アッサム州、タミルナドゥ州、ケララ州、ウェストベンガル州)が終わりましたので、恐らく明日から全インド乃至各州足並みを揃えて追加施策が打たれると想定されます。
インド地方選挙ライブ更新サイト:Election Results 2021 LIVE | Assembly Election 2021 Results, West Bengal, Assam, Kerala, Puducherry, Tamil Nadu - NDTV.com
しかし、個人的な懸念事項としては、以下が想定されます。
■デリー、ムンバイ、ベンガルールでのロックダウン発令に伴う都市部から出稼ぎ労働者が郊外へ流出し感染拡大継続
■選挙活動での濃厚接触により時間差として上記州の主要都市でも感染爆発
ーこのようなシーンが報道されていたので、暗数がかなり増えていそうです。
■選挙が終わったので、全インド的にもロックダウンが発令されるが、1年前と同じで都市部から出稼ぎ労働者が流出して田舎でも感染拡大
■結果的にロックダウン期間がずるずる伸びて、経済基盤&医療インフラが崩壊。
このように、あくまでも想定の範囲を越えないですが、あらゆる状況を想定していきたいものです。
引き続き、油断できない状態が続きますが、正確な情報の獲得に努め、生き残ることができるように尽力します!
次の記事ではワクチン状況について触れます。
著者プロフィール
- 永田賢
Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。
Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/