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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

初の週休3日制導入企業誕生!コロンビアの働き方改革

©️iStock - BrianAJackson

コロナウイルスによるパンデミックで世界中の人々の生活が一変しました。

出勤が制限され、テレワークで自宅から働いているという人もたくさんいるだろうと思います。

このパンデミックがいつどのように収束するのかまだ目処も立ちませんが、パンデミックが収まった後もテレワークを継続するという企業は少なくないのではないでしょうか。

テレワークのように近年様々な「働き方改革」が進められてますが、「週休3日制」もその改革のひとつといえるでしょう。

政府が2021年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」には選択制週休3日制について言及されるなど、日本政府も注目しているこの「週休3日制」。

既に日本でもいくつかの企業が導入を始めているようですが、私が住むコロンビアでも最近週休3日制を初めて導入した企業が現れ、注目を集めています。

 

コロンビア初 週休3日制企業

コロンビアで始めて週休3日制を導入したのは石鹸を製造販売している企業Hadaグループ。創業65年で、国内だけでなくメキシコにも支店を構え、22ヶ国に輸出をしているという大きな企業です。

日本で選択制週休3日を導入している企業は勤務時間を削減する代わりに給料も減額するというやり方をとっているところが一般的のように感じますが、Hadaグループはこの週休3日制導入に伴う給料や契約内容の変更は一切しないということです。

Hadaグループは1月14日に企業HPのブログを更新。「#未来の働き方 へようこそ」というタイトルで今回の大胆な改革について以下のように語っています。

我々は働くために生きるのではなく、生きるために働くのだとHadaグループは考えています。

国と私たちのグループが存在する地域の歴史的な動きとして、可能なセクションの労働日数を4日に変更するという決定を下しました。

なぜなら私たちは今を生きているからです。プライベートと仕事の調和とバランスの時代に新しい一歩を踏み出すことで、従業員の福祉を向上させるパイオニアになりたいのです!

私たちは家族でより多くの時間を過ごしたり、新しい言語を学んだり、運動したり、瞑想したり、勉強したり、夢を叶えるという時代に到達しました!労働者である以前に、私たちは心身健康で家族や友人を愛し、100%の人生を生きる人間なのです!

これは働く時間を少なくするということではなく、より良く働くということを目的としています。誠実、責任感、効率に基づいたチームを信頼し、目標を達成していくのです。

モチベーションを高く持ち、幸せで、団結したチームになれたなら、私たちはもっっっと遠くまで辿り着くことができるでしょう!!

引用 − Grupo Hada https://grupohada.com/futureofwork/

   

Hadaグループの副社長のマウリシオ・トゥルヒージョ氏は、このパンデミックでのテレワークがこの決定に深く関わっていると話しています。テレワークに切り替えた当初は従業員の生産性が下がるのではないかという心配があったそうですが、長い期間テレワークを行ってみて全く問題点はなく、働く場所は生産性には関係しないということが分かったそうです。そして更に生産性は労働時間に比例するわけではないのではないかという点にも目を向けるようになりました。「従業員の人生が充実すればモチベーションも上がり、結果労働時間が短くても生産性が上がるのではないか」とHadaグループは考えたのです。

このニュースに対しツイッターでは「素晴らしい!」「いいニュースだ」とポジティブなコメントが相次いでいます。

  

  

コロンビアでも始まった働き方改革

日本で骨太の方針が話題になったのと同じ頃、コロンビアでも働き方に関する新たな法律が制定されました。

それは「週の労働時間を48時間から42時間に減らす」というもの。2026年に週42時間労働が完成するよう、2023年と2024年に1時間、2025年と2026年に2時間と段階的に減らしていきます。また、労働時間減少による給料の削減や契約条件の変更などは一切行わないということでした。

これにはプライベートを充実させることで仕事の生産性を上げるのと同時に、雇用を増やし失業率を下げる役割が期待されているのですが、この新しい法律に疑問を唱える声も多くあるようです。

ハベリアナ大学教諭のパブロ・ガルアティ氏は「デンマークやドイツの人々は皆、短い労働時間の中で集中して働くことができる。しかしこの国はそうではない。」と生産性が減少してしまうことを懸念。実際、コロンビアはメキシコと並んで経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で最も労働時間が多い国とされていますが、生産性は他の国よりも低いとされており、就業時間の短縮が生産性の向上につながるかどうかに不安を感じている人もいるようです。

また、経営者側からは「世界で競争しなければいけない大事な時に労働時間を減らすことはコロンビアの将来にとって好ましくない」「パンデミックで企業側も大変な時期に雇用を増やすのはしんどい」という意見も上がっており、この議論はこれから先も続くことになるでしょう。

iStock-1003610758.jpg

©️iStock - JGalione 

様々な意見が飛び交う働き方改革。「ワークライフバランス」という言葉もよく耳にするようになりましたが、これからはこういった価値観が当たり前の時代になってくるのだなと、これらのニュースやそれに対する反応をみて思うのでした。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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