魅惑の摩天楼、香港フォト通信
アジア最大のフランス人人口を抱える香港のフレンチは、引き出しが広くて超美味!
香港のフレンチは実は非常に美味しい。
観光で来る方は飲茶、北京ダック、ワンタン麺などに目が行ってしまいがちで
フレンチには日数的にもたどり着かないのが残念である。
本当にお宝が眠っているので
そのお宝に手を伸ばして欲しいと思い
香港のフレンチに関して今回は書こうと思う。
■香港はアジア最大のフランス人の人口を抱える都市
人口約750万人の香港に住むフランス人はコロナ前の最盛期には約25000人であった。
人口約1億2500万人の日本に住むフランス人はその半数の約12500人である。
いかにフランス人が多く住むかこの数字からわかると思う。
香港はアジア最大のフランス人コミュニティがある街である。
2009年香港のフランス人は2375人、2016年には8060人と3倍強に増えていった。そして最盛期に25000人となった。
非難ごうごうの香港のゼロコロナ政策で香港のヨーロッパ人の10パーセントが香港を去ったため
フランス人の数も最盛期より減っているが、現在ゼロコロナ政策を取っ払っている為、
「やっぱり香港がいい」「香港に戻りたい」という兆候が出始めているという報道もちらほら出始めている。
そうなって欲しいものだ。
■フランス人が香港に目を向ける理由
第一に挙げられるのが本国フランスの失業率の高さである。
そして香港には現在750のフランス企業が香港に進出している。
おなじみルイヴィトン、シャネル、ディオールといった高級ブランドからフレンチレストランまで、
どの企業もビジネスの監督を担うのはフランス人でなくてはならないと
フランス人を採用するのもその理由(在香港の日系企業もそうだけれど)。
そして香港の持つ大都市のダイナミズムと外国人が住みやすいコスモポリタン的要素、
そして都心から離れれば広がる自然のリラックス感のバランスに惹きつけられるようである。
フランス人人口に比例して当然フレンチレストランも増殖した。
最先端フレンチが競い合う街で世界中からヘッドハンティングされた秀逸なシェフたちが腕を競っている。
■フランス人シェフ同士で情報を回す
フランス人コミュニティーの中でフランス人シェフたちは情報交換を欠かさない。
特に素材の仕入れは大事で、どこどこの日本人の業者さんに頼めば最高の魚が手に入るなどと情報交換をするようである。
■在香港のフランス人シェフが日本の素材に目を向けるわけ
ベストなフレンチを作るにはベストな食材が求められる。
コロナ前は香港から近い地の利を生かし果敢に日本に出かけて行っては素材の視察をしに行くシェフも多かった。
日本産のまろやかな風味の野菜やしびれるほどうまい魚のうまみに圧倒されて帰ってくるという。
そういう関係で香港のフレンチは日本の素材をふんだんに使う店が多い。
ある在香港の日本人業者さんの話によると、流行だから和の素材を使うのではなく
フランス産の素材は輸送に時間がかかるという弱点がある。
そうするとベストな選択は日本の物を使うことになるそうだ。
だからといってフュージョンに走るのではなくフレンチの伝統を守りつつ
果敢に色々な素材に挑戦し取り入れ巧みな技で見事な一品に仕上げるシェフたちは本当にすごい。
今回は最先端フレンチが競う合う香港の私が特に好きなお勧めのフレンチを3店紹介したい
■Ecriture
https://ecriture.squarespace.com/
マンダリンホテル内の高級フレンチAmberで陣頭指揮を執っていたフランス人 Maxime Gilbert氏がヘッドシェフを務め、香港でベストなフレンチと言ったらEcritureを上げる人が多い。
2019年から3年連続でミシュラン2つ星を獲得している。
日本からの厳選された食材をふんだんに使い
どれもこれも気の遠くなるような丁寧な行程を踏んだ料理の数々には舌を巻くこと間違いなし。
日本から取り寄せた和の高級食器類も目を楽しませてくれる。
■Epure
南仏を思わせるようなテラス席からは香港の絶景ビクトリア湾が目の前に広がるというロケーション。
フランス人シェフNicolas Boutin氏が陣頭指揮を執り2017年から毎年ミシュラン1つ星を獲得している良店。
お勧めは和牛、ロブスター、スフレなど。
■Tirpse
こちらは世界最速でミシュランを獲得したあの東京のフレンチの名店、
TIRPSEが2018年に店を閉め、なんと香港に場所を移してオープンした。
シェフは同じく東京のTIRPSEで辣腕を振るった清水雄太氏。
同じく日本の食材を巧みに調理した清水シェフのフレンチは日本人の口に合う優しい味のフレンチである。
(清水シェフのインタビュー記事)
香港のフレンチは本当に引き出しが広く美味しいので是非とも時間を割いて足を伸ばして欲しいと思う。
著者プロフィール
- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。