魅惑の摩天楼、香港フォト通信
コロナであっても腹は空く 香港庶民の胃袋を満たすガイシー(市場)
●香港のコロナ状況
前々回2020年12月22日に香港のコロナ禍の現状を書いた。その後の動きとしてはイギリスで突然変異種が見つかった事を香港政府は非常に重く見て、イギリス便の乗り入れ禁止の措置を取っている。
さらに香港入境時には香港政府指定のホテルに3週間の隔離が義務付けられるようになった。
もう香港からいったん出てしまったら、戻った際に3週間の隔離が義務付けられるため、香港在住の邦人はよほどの緊急事態でない限り日本への一時帰国を断念せざるをえないのが現状である。
飲食店は夕方6時以降閉店、テイクアウトは可。夕方の6時前の飲食店では1卓に座れるのは2人まで。
公の場で集まれるのは2人まで。エステ、マッサージ、ジム、アミューズメントパーク、映画館は営業停止という厳しい措置が取られている。香港政府としては徹底的にコロナを封じ込め、一日の感染者数ゼロにもっていきたいのであろう。
他の先進諸国と比べて香港の一日の感染者数は数十人と軒並み少ないのに徹底しすぎの感も無くは無いけれど、香港政府のコロナ対策は見ていて安心感がある。
●コロナであっても腹は空く、何でも揃う市場
コロナ禍であってもおなかは空く、人間何があっても3度3度の食事からは逃れられない。
そんなわけで香港人の胃袋を満たす市場、こちらでは街市(ガイシー)、英語では wet market と呼ばれ、香港人には無くてはならない存在の市場を今回はご紹介。
街市で買えるのは肉類、魚貝類、野菜、果物、乾物類といった食品のみならず、生花、食器類、衣類、日常雑貨、下着類、サンダル類といったものから衣類のお直しをしてくれる所もあって、何でも揃ってしまい至極便利。
街市は香港に74カ所、13,070店舗が入居している。街市をゆっくり丹念に見ていったら数時間たってしまうでしょうね。
そして街市の面白さは香港の地元密着型の生活様式を見れること。
キッチュで、混沌としていて、独特な匂いがプーンと漂っていてる。しかしながらパリのお上品なマルシェを想像して行くと気絶する事間違いなし!! でもそのギリギリのお下品さと楽しさが共存していて、香港らしさが一番にじみ出ている所だと思う。
どんなところか一寸写真をざーっと見て行きましょうか。
この果物は龍眼(ロンガン)。マンゴスティンやランブータンなどトロピカルフルーツが極普通に買えるのも香港の魅力の一つ。
●私が街市で唯一絶対に写真を撮らない場所
街市は香港の日常を肌で感じることが出来、実に楽しいところなんで、たまに写真を撮りにいく。でも一箇所だけ私が写真を撮らない場所がある。
ベンツ、金貨、スマホ、ロレックスの金時計、蒸篭に入った海老餃子、蒸カステラなどを、それはそれはユーモラスで可愛いらしく作られた紙細工がぶら下がっているお店が街市の中には必ずある。
多分観光客が行ったら『可愛い~』と思わず手にしたくなるでしょう。じつはこれらは死者の棺の中に入れるものなのですよ。
あの世に行っても金銭、衣食住、に困らないようにと願いをこめて遺族が棺おけの中に入れるもの。
本当にカラフルで愛らしいので観光客の方は思わず買って持ち帰りたいと思うかもしれない。
あくまで私個人の意見だけれど、やはり縁起がいいものではないし、死者にささげる物を日本に持って帰って部屋に飾るというのは避けたほうがいいと思う。
●地域によって特色があるから色々廻ると面白い
現在、街市の入り口にはセンサーが設置され、入る人の体温をチェックしている(香港はどこでもセンサーが設置されている)。
冒頭で香港には現在74カ所街市があると書いたが、地域によって特色がある。
九龍城や黄大仙のような下町は、やはりオールドスタイルを守っている。欧米人が多く住む地域の街市、たとえば西營盤(サイインプン)などの街市はハーブ類やヨーロッパからの野菜類が充実しているし一寸ハイカラ。最近の健康ブームを反映してオーガニック類の野菜を売るお店も地域を問わず増えてきている。
いつも人の熱気に包まれている街市、コロナでもそれは衰えない。人間の三度の食事の習慣はコロナでも不変だから。
著者プロフィール
- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。