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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

夏に向けてより自由に イタリアほぼ全土ホワイトゾーン、規制とワクチン接種で新型コロナウイルス感染減少

トラジメーノ湖畔で夕景を楽しむ人々 2021/6/10 photo: Naoko Ishii

イタリア全土で夜間外出禁止令の解除、新たに6州1県がホワイトゾーンに

 夏至であった昨日、6月21日から、イタリアでは、ヴァッレ・ダオスタ州を除く全土がホワイトゾーンとなりました。イエローゾーンから、最も規制の少ないホワイトゾーンへと新たに移ったのは、南イタリアのカンパーニア、バジリカータ、カラブリア、シチリア、中部イタリアのトスカーナ、マルケ、そして、ボルツァーノ自治県です。また、6月21日には、昨年11月以来長きにわたった外出禁止令が、イタリア全土で解除されました。

 ホワイトゾーンになると、レストランなどで、屋内席では6人まで同席が可能になり、屋外では、同席できる人数に制限がなくなります。ただし、対人距離1メートルの規制は継続されます。さらに、イエローゾーンでは、7月1日以降に可能となっていた屋内のプール、温泉、テーマパークや遊園地などの再開や、大規模会議や学会の開催が、ホワイトゾーンでは今から可能となります。また、屋内外での結婚式や誕生日会などのパーティーの開催も可能となります。唯一再開日が確定していないのがディスコやダンスホールで、今夜のニュースでは経営者たちが、許可なしに催される会に大勢が集まって踊っているのに取り締まりが行われず、許可を持つ自分たちの店をいつまでも開けられないのは納得がいかないと、7月初めには再開をと訴えていました。

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 この春の第3波で、3月下旬から4月初めにかけて、現在の感染者数が57万人前後となる日が続き、新型コロナウイルス感染が頂点に達したイタリアでは、その後、厳しい規制と昨年12月27日に始まり、着々と進むワクチン接種のおかげで、現在では感染の減少傾向が続き、6月22日現在では、現在の感染者数が72,964人、今日、6月22日の新規感染者数が834人、入院患者が2,289人、集中治療室入院患者が362人、死者が31人、実施された検査の陽性率は0.4%となっています。

進むワクチン接種、ワクチンの絶大な感染防御効果が明らかに

 ここまで感染を抑え込むことができたのは、長期にわたる厳しい規制と共に、12月27日に始まり、当初はもたついていたものの、今ではほぼ順調に進んでいるワクチン接種のおかげです。イタリアでは6月22日現在、ワクチン接種を2回受けた人および1回で済むワクチンの接種を終了した人が、12歳以上の人口の30.13%である16,270,105人となり、6月20日には、1回目の接種を終えた人が12歳以上の人口の過半数を超えています。

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 1回目のワクチン接種だけでも、新型コロナウイル感染症の危険が大幅に減少することが、イタリアでワクチンを接種した1400万人を対象とした追跡調査で明らかになり、接種から35日には、新型コロナウイルス感染症感染の危険度減少率が、感染については80%、集中治療室入院は90%、死亡は95%となり、以後その安定した状況が続いて、105日以降には、さらなる減少が見られるとのことです。

 他州に比べて、50代の接種が遅れていたウンブリア州ですが、6月12日には、わたしも無事1回目のワクチン接種を受けることができました。アストラゼネカのワクチンに関する接種年齢や接種方針の混乱、イタリアにおけるデルタ型の変異株の感染状況については、また別の機会にお話しできればと考えています。

 わたしの暮らすウンブリア州は、6月7日にホワイトゾーンになったこともあり、住民としても自由を実感していますし、また地方ニュースによると、観光客も大勢やって来ているようです。昨年は収益が80%減少した、州内に多数あるアグリトゥリズモでも、今は大勢の客がすでに夏の宿泊を申し込んでいて、これまでと違って、外国人観光客よりも、近隣の州から来る客が多く、また、人里から離れた宿に人気があるとのことでした。

 6月28日からは屋外でのマスク着用義務も解除されることになりました。ただし、屋外であっても、市場や列に並ぶ際など人が大勢集まっている場合などには、依然としてマスク着用の義務があります。こうして感染が減少し、規制が緩和されていく中で、イタリア市民も、また外国からの観光客も、ようやく訪れた自由と夏を喜んでいることと思います。ただし、ワクチン接種が進んだ英国でデルタ株の感染が拡大し、イタリアでもすでにデルタ株の感染やクラスターが発生しているため、開放的な気分を楽しみつつも、感染を防ぐために、規制をしっかりと守り、必要なときにはマスクを着用し、手をこまめに洗い、人混みを避けるなど、一人ひとりが気をつけて、自分とそして皆の命と健康を守ろうとする心がけを持ってくれるよう願っています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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