イタリアの緑のこころ
変異株で感染急増 レッドゾーン、ペルージャ・ウンブリア
医療機関でブラジル型、ペルージャ県 病院外で英国型の変異株が感染源に
イタリアで、全国的には新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少傾向にあった1月下旬にも、感染者数が増加傾向であったウンブリア州は、1月20日にオレンジゾーンとなり(詳しくはこちら)
2月に入るとさらに感染が拡大し、この感染の急増が、医療機関ではブラジル型、ペルージャ県の市町村では、英国型の変異株によるものであることが分かり、わたしたちの知る人や夫の遠い親戚の中にも、感染で亡くなる人が次々に出てきました。どちらの変異株も、従来の新型コロナウイルスよりも感染力がはるかに強いと考えられています。
医療機関の逼迫、レッドゾーンによる規制強化
こうした中、州全体がレッドゾーンとなる前にと、国からの意向も受けて、ウンブリア州令で、今週の初め、2月8日月曜日から、ペルージャ県のすべての市町村およびテルニ県の6市町村がレッドゾーンとなりました。(詳しくはこちら)
現在ウンブリア州では、医療機関の逼迫がさらに厳しいものとなり、2月13日には、少なくとも30%までに抑えるべきとされる集中治療室病床の63.4%を、新型コロナウイルス感染患者が占めるまでになりました。(下記ツイートの右上の地図)
#coronavirusItalia 13/02: ricoverati -269(occ. 27%), in T.I. -33(occ. 24%), 12245 casi/g((~7g). 45.1 dosi di vaccino somministrate in totale ogni 1k abitanti.
-- Maurizio Schmid (@maurizioschmid) February 13, 2021
Casi/g ogni 100k: #TAA 75 #Umbria 41 #ER 28 #Abruzzo 27 #Molise 27 #Campania 26 #Marche 25 #FVG 24 #Puglia 21... pic.twitter.com/I7FaPBpIai
ペルージャとテルニの病院の前で設置が急がれていた野戦病院は、1週間前には設置が終わり、設備が整った集中治療の病床もあるというのに、医療従事者が不足しているために利用が進まないという状況です。そのため、ウンブリアでの医療活動を支援しようというボランティアの医療従事者を、災害防護庁がイタリア国内で400人募集することとなりました。
州内で、英国型とブラジル型の変異株によって新規感染者数が急増し、また州の病院や医療施設でクラスターが多数発生している状況から、ウンブリア州では、新型コロナウイルス感染症のさらなる感染を防ぎ、医療機関の逼迫を緩和するために、延期が可能な手術や専門医による外来診療を延期するなどの措置が取られることとなりました。
こういう状況ですから、2月14日からはウンブリア州全体がレッドゾーンとなる可能性があると言われていたのですが、今のところは、ペルージャ県とテルニ県の感染の多い市町村でのレッドゾーンは引き続き2月21日まで続くものの、州としてはオレンジゾーンにとどまることとなりました。
冒頭の写真は、今年1月にペルージャで撮影しました。宮殿の壁を赤いリボンで包む映像もあって美しかったのですが(詳しくはこちら)、今となっては、ペルージャでさらに感染が増大し、レッドゾーンで厳しい規制に縛られる状況を暗示していたようにさえ思われます。
ウンブリア州では、2月15日から、州内の80歳以上の高齢者を対象としたワクチン接種が始まります。2月8日からレッドゾーンとなったテルニ県の六つの市町村の中には、その後感染者が皆無となった市町村もあり抗議の声が上がっていたこともあり、4村については、12日の晩からすでにレッドゾーンの対象ではなくなっています。
ワクチン接種や厳しい外出・移動制限によって、一刻も早く感染が減少傾向に向かっていくことを願っています。
Coronavirus, scoperta la variante inglese in un quinto dei casi italianihttps://t.co/Hz0dpnCpSv
-- Repubblica (@repubblica) February 12, 2021
英国型の変異株は、ウンブリアだけではなくイタリアの他州でも出回っていて、現在では、イタリアにおける新型コロナウイルス感染者の5人に一人が、英国型の変異株に感染しているとのことです。けれども今回は、今は安心に思える州でも、また国でも、気づかないうちに変異株による感染がさらに進み、感染が急増する恐れがあるということ、そのために十分に気をつける必要があるということをお伝えするためにも、特にウンブリア州の感染状況について、要点をお伝えしています。
著者プロフィール
- 石井直子
イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。
ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia
Twitter:@naoko_perugia