「人間関係もリゾットも上手に作れるようになるには時間がかかる」 おしゃれなゲイの、人生を変えるレシピ本
Recipes With Stories
ファブ5の料理担当、アントニ・ポロウスキ CHRISTOPHER SMITH/NETFLIX
<ゲイ5人組が視聴者の悩みを解決するリアリティー番組『クィア・アイ』の料理担当アントニの料理本がついに登場>
ネットフリックスの大ヒット番組『クィア・アイ/外見も内面もステキに改造』は、おしゃれなゲイの5人組「ファブ5」が、トラブルを抱えた視聴者を、見た目も生活も大変身させるリアリティー番組。ファッショナ ブルなだけでなく人情味あふれる5人が、相談者に親身に寄り添う姿が支持されている。
しかも相談者は、銃弾を受けて車椅子生活になった元ギャングや、アメリカとメキシコという2つの文化の間で揺れ動くヒスパニックの女性、ホームレスとなった退役軍人の支援活動に励む男性など、アメリカ社会の「今」を象徴する庶民ばかり。
中には、「最初はゲイのアドバイスなんてやめてくれと思った」と語る相談者もいて(本人に内緒で家族が相談を持ち込むことも多い)、視聴者に大いに考えさせる内容が多い。
アントニ・ポロウスキは、それぞれ違う得意分野を持つファブ5の中の料理担当。相談者の(多くはごちゃごちゃの)冷蔵庫の中身を整理し、簡単に作れるけれどちょっと気の利いた料理を教える。番組はたいてい家 族や恋人を料理でもてなすシーンで終わるから、相談者らしい料理を教えることも重要だ。
そのシンプルだが独創的な料理のレシピを知りたいという声は、番組のスタート当初からシーズンを重ねるごとに高まっていた。そしてこの9月、ついにレシピ本『アントニ・イン・ザ・キッチン』が刊行された。
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サラダなど野菜ベースのヘルシーなレシピもあれば、マカロニ&チーズなど濃厚なパスタ料理、さらには甘党ファンもうならせるデザートまで実にバラエティー豊かな内容になっている。ポロウスキのいとこが、子供の ときのサマーキャンプで教えてくれたという甘酸っぱいレモンケーキのレシピもある。
そう、この本はただのレシピ本ではなく、ポロウスキの人生の物語が詰まっている。「20代のときは小説を書きたいと思っていた」と、彼は言う。「この本はむしろ、自分でも思いもしない人生を歩むことになった私の回顧録だと思っている」
どんな料理にも物語が
その思いは、本の前書きにもにじみ出ている。ポロウスキは、『クィア・アイ』がもたらした突然の名声への戸惑いと不安を驚くほど正直に告白している。
「私はファブ5の1人を名乗る資格があるほど、『本物のゲイ』と言えるのかと自問した」と、彼は書いている。