コラム

バイデン政権の政治任用ペースは「トランプと同じ」、問われるリーダーシップ

2021年11月01日(月)18時16分

民主党の左傾化と上院の与野党拮抗に停滞の原因がある

バイデン人事の遅滞は民主党の左傾化と上院の与野党拮抗に原因がある。バイデン大統領自体は中道寄りの大統領と見られているが、実際に上院に提出する人事案は左派寄り過ぎることが何度も問題視されてきた。上院は民主党・共和党が50対50で拮抗しており、共和党側が一致して反対した場合、民主党側は如何なる理由であったとしても自党から一人の取りこぼしも許されない状況であるにも関わらず。それだけ党内左派の力が増しており、バイデン大統領が政権運営に苦慮していることが分かる。

直近では、9月30日に土地管理局長として上院承認されたトレーシー・ストーンマイニング氏が大問題となった人物として記憶に新しい。彼女はエコテロリストグループとの繋がりや過去の大学論文の過激な内容(人口管理などに言及)などについて上院公聴会で糾弾され、共和党からの批判だけでなく民主党内にも多大な困惑がもたらされた。この件はバイデン政権が環境問題に関連する土地政策に対して、その方針の過度なイデオロギー上の偏りを疑われても仕方がない混乱ぶりだった。

また、現在の承認プロセス中の人事では、通貨監督庁長官にコーネル大学のソーレ・オマロバ氏が指名されているが、彼女は金融行政に関する左派的な見解(民間銀行の国有化など)で知られており、少なくとも議会共和党からの支持を得ることは困難だろう。したがって、民主党内の一部から反対が出ただけで、この指名の承認は極めて困難なものとなる。この人事についても一部の左派系の上院委員会委員長らの勢力にバイデン政権が引きずり回されている印象を受ける。

今後もこのような上院承認に混乱をもたらす指名が繰り返されるなら、バイデン政権の政権任用のペースは今後も遅々たるものとなるだろう。そして、それはバイデン政権の政策的な停滞を意味しており、そのリーダーシップには一層疑問符が投げかけられることを意味する。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米関税「根拠ない」、欧州企業は対米投資中止を=仏大

ワールド

カナダ首相、米に対する限定的な対抗措置発表 トラン

ワールド

米関税措置の「免除困難」、引き下げ巡り各国と協議継

ビジネス

政策調整急がず、現状の金利は適切な水準=FRB副議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story