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バイデン政権の政治任用ペースは「トランプと同じ」、問われるリーダーシップ
民主党の左傾化と上院の与野党拮抗に停滞の原因がある
バイデン人事の遅滞は民主党の左傾化と上院の与野党拮抗に原因がある。バイデン大統領自体は中道寄りの大統領と見られているが、実際に上院に提出する人事案は左派寄り過ぎることが何度も問題視されてきた。上院は民主党・共和党が50対50で拮抗しており、共和党側が一致して反対した場合、民主党側は如何なる理由であったとしても自党から一人の取りこぼしも許されない状況であるにも関わらず。それだけ党内左派の力が増しており、バイデン大統領が政権運営に苦慮していることが分かる。
直近では、9月30日に土地管理局長として上院承認されたトレーシー・ストーンマイニング氏が大問題となった人物として記憶に新しい。彼女はエコテロリストグループとの繋がりや過去の大学論文の過激な内容(人口管理などに言及)などについて上院公聴会で糾弾され、共和党からの批判だけでなく民主党内にも多大な困惑がもたらされた。この件はバイデン政権が環境問題に関連する土地政策に対して、その方針の過度なイデオロギー上の偏りを疑われても仕方がない混乱ぶりだった。
また、現在の承認プロセス中の人事では、通貨監督庁長官にコーネル大学のソーレ・オマロバ氏が指名されているが、彼女は金融行政に関する左派的な見解(民間銀行の国有化など)で知られており、少なくとも議会共和党からの支持を得ることは困難だろう。したがって、民主党内の一部から反対が出ただけで、この指名の承認は極めて困難なものとなる。この人事についても一部の左派系の上院委員会委員長らの勢力にバイデン政権が引きずり回されている印象を受ける。
今後もこのような上院承認に混乱をもたらす指名が繰り返されるなら、バイデン政権の政権任用のペースは今後も遅々たるものとなるだろう。そして、それはバイデン政権の政策的な停滞を意味しており、そのリーダーシップには一層疑問符が投げかけられることを意味する。
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