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【2020米大統領選】ベーシック・インカムを唱えるアジア系候補アンドリュー・ヤング
大統領候補としてのヤングのユニークな魅力は、「大統領になるために大統領選に出馬したのではない」という言葉に信憑性がある真摯さだ。実際にヤングは自分が「本物だ」と感じたライバル候補を公に応援している。
「注目を集めるミレニアル世代の大統領候補ピート・ブーテジェッジ」のコラムで説明したように、最初の民主党ディベートに参加する資格を得るためには、世論調査で1%以上の支持を得るか、あるいは個人からの寄付金を6万5000人以上から集めなければならない。3月12日の時点ではまだブーテジェッジはディベートの資格を得ていなかったのだが、アンドリュー・ヤングはブーテジェッジに自ら寄付しただけでなく、ツイッターで自分のフォロワーたちに「ピート・ブーテジェッジは真実だ。6月のディベートのステージに立ってほしいし、そうなるだろう」と寄付に協力することを呼びかけたのである。
まだ予備選の途中なのに他の候補に寄付するよう呼びかけた候補など、これまで見たことがない。また、そんな候補の呼びかけに応えて「私も寄付した」とリプライするような支持者もこれまではいなかった。2016年の大統領選挙のときには他の候補を支持する者のソーシャルメディアをひどい言葉で荒らす者が多かったのだが、ヤングの支持者たちがそういった雰囲気を許さないようネットでも呼びかけあっているのも見かけた。これは自然発生というよりもヤングのリーダーシップの結果だろう。彼は、2016年の選挙でトランプやサンダースを支持するかなりの票田になった「2ちゃんねる」の英語版である「4chan」の常連や白人優越主義者の支援を公に拒絶している。
ヤングの本の前半に描かれているアメリカの未来は暗い。だが、大手メディアが伝えないこういった部分や彼が提唱する「ヒューマン・キャピタリズム」には希望を感じる。彼の本によると、次のような信条が「ヒューマン・キャピタリズム」のコアになっている。
1, ヒューマニティはお金よりも重要である。
2, 経済の単位はそれぞれの人であり、ドルではない。
3, 私たちに共通する目標と価値観のために市場は存在する。
大統領になる可能性がほとんどないヤングだが、「アメリカ全体の雰囲気を変える」というもっと大きな目標の達成に最も貢献する候補になるかもしれない。
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