中国「愛国ビジネス」暴走、日本人襲撃...中国政府は止められないのか
そんな時に起きたのが深圳の事件だった。
日本の配信者たちに行為を正当化する口実を与えるだろう
中国政府は円明園の事件後、「外国人差別は許さない」とのメッセージを出し、当然ながら深圳の事件後も「外国人の安全のため効果的な措置を取る」としたが、6月には江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが襲われる事件があったばかり。
政府が暴走を望まなくても、もはやそう簡単に火消しはできないだろう。数十年間の愛国・反日教育のツケが回ってきたのだ。
愛国ビジネス系配信者の動画が深圳の容疑者に影響を与えたかどうかは分からない。
だが、この一件が日本の配信者たちに自分の行為を正当化する口実を与えるのは間違いない。普段は冷静な日本のネットユーザーが悲惨な事件をきっかけに考えを変える可能性もある。
さらなる悲劇を起こさないためにも、この輩たちを取り締まると同時に(もちろん、中国側は政府の責任も大きい)、私たち一人一人が偏った報道や配信動画に振り回されることなく、異文化の理解と尊重に努めることが重要だ。
偏見は偏見を、差別は差別を、憎しみは憎しみを呼ぶ。私たちは、そうした負の連鎖が悲惨な結果しか生まないことを肝に銘じなければならない。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院を修了。通訳、翻訳、コーディネーターの派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレントとしても活動している。