大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「ボス」になれないことだ
良いボスは高圧的では駄目だが、フレンドリーすぎてもいけない。ちょうどいい具合に指示を出し、出来栄えを点検しなければいけない。長嶋茂雄氏の監督時代の迷言「私は選手を信頼しても、信用はしてません」ではないが、信頼しつつ厳しく接するのが日本人には難しいところだろう。
しかし今後は日本人も、おそらく他人に金を払って働いてもらうことが増えていく。忙しい共働き家庭は増えているし、政府も外国人の家事代行サービスを広げる方針だ。また少子高齢化社会では身内の手を借りるのにも限界があり、介助士・介護士のサービスはますます必要となる。
雇われる側にしても、相手が金持ちでカリスマだから頼まれれば何でもしていいわけではない。日本社会はまだ契約関係を結ぶことに慣れておらず、社会全体として「なあなあ」な空気だからこそハラスメントや無償の労働がはびこる余地があり、逆に雇用主が付け入れられるケースも発生する。今回の事件は図らずも、そんな日本人の弱点への教訓と言えないだろうか。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら