解雇した「当たり屋」社員に裁判で負け、3000万円を失った。労働者は常に「弱者」だと言えるのか
そんななか、進んだ民事裁判。有利なはずだったが、Aの弁護に付いたのは某野党系の弁護士事務所で「労働者の味方」。Aの弁護を引き受けるのは、少なくとも2回目らしい。私に言わせれば、 彼らが味方をしているのは「弱い労働者」ではない。
そして先日、地裁の判決が出て、私は敗訴した。裁判官からは「採用を決めたのはあなた自身」という趣旨の話をされた。本当かどうか分からないが、弁護士の説明によれば、「労働者の味方」をすると出世に有利に働くため、裁判官にバイアスが働くのだという。敗訴と驚くべき金額の支払い命令に納得がいかなかったが、控訴には踏み切れず、結局、弁護士費用を含め3000万円近い大金を失った。
昨今、ブラック企業が社会問題となっている。確かに労働者が弱い立場にあるのは事実だろう。だが実際には、労働者側がブラックである場合もあるのだ。詐欺行為が明白なのに、ぬれ手で粟のA。なぜこんなことがまかり通るのか。日本は法治国家ではなかったのか。裁判官の正義はどこにあるのか。「労働者は弱者」という先入観が正義をゆがめたのだとしたら、法治国家の根幹を揺るがす深刻な問題だ。
私には妻と4人の子供がおり、守るべき従業員もいる。「当たり屋」への怒りと日本の司法に対する失望感は到底解消されそうにないが、彼らのためにも自暴自棄になってはいられない。今までどおり、私は今日も法を守り真面目に働いていく。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。
2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む
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