日傘、辛いもの、かりゆし、風鈴も?...今こそ世界に広めたい、ニッポンの「熱中症対策」とは
でも日傘は安上がりだし、副作用も環境への悪影響もない。英語のumbrellaの語源が「ちょっとした影」であることを考えても、少なくとも言葉の上では雨傘に限る必要はなく、温暖化が進む世界に夏バテ防止アイテムとしての日傘がもっと広がってもよさそう。
また、日本ならではの対策としてもう1つ注目したいのは、沖縄の「かりゆしウェア」。男性の夏の正装として県内で定着しており、他県ではまだカジュアル服のイメージが強いが、中央省庁では着用もされている。
岸田文雄首相も最近、かりゆしを着て東京での閣議に出席していた。海外の似たものにはハワイのアロハシャツがあるが、いつでもビジネス服として着ていいことにはなっていないし、アメリカ本土で正装として採用されそうな動きはない。
一方、かりゆしはもう少しで全国的なクールビズ政策に組み込まれるのではないか。もし準公式にでもビジネス服として認められたら、日本の勤め人は世界中から羨まれる。
こうして見ると、日本は夏バテ対策の先進国だ。ただ1つだけ、僕には疑問に思えるものがある。それは風鈴。特にガラス製のものは質がよくて、代々作ってきた職人には脱帽だけれど、これで本当に涼しくなる?
説得されるにはまだ時間がかかりそう。筆をおいて、少しスイカでも食べながらその音色を聞いてみます。
トニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点に活動。ベストセラーとなったコミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)シリーズの主人公。