醜悪なミニ政党こそ民主主義の危機
YOSHIO TSUNODA/AFLO
<参院選では一部のミニ政党、小規模野党が善戦した。私が取材した限りでは、奇抜なこれらの政党には問題のある人物が多い。政界で力を持つことはないだろうと、無視していていいのだろうか>
猛暑日が続いている。その暑さに釣られたのか、先日の参議院選挙は予想外に熱かった。
自民党が圧勝したが、それには安倍晋三元首相が銃撃され亡くなったことも関係していそうだ。自民党に同情票が集まったという分析もあった。安倍氏の急逝で政治と宗教の関係も注目されることになったが、今後はその闇も次第に明るみに出るだろう。
私は一介の外国人だ。日本の政治に関わってくれるなと言われることもあるし、そのつもりもない。しかしやじ馬根性は捨て切れず、今回の選挙には関心を寄せていた。
特に注目していたのは、議席獲得の見込みが薄く、所属議員がごくわずか、もしくは1人もいない「ミニ政党」だ。
比例代表選では計15の政党が届けを出していたが、その中には名前すらほとんど知られていないミニ政党もあった。選挙区のほうでは、もっとワケの分からない党名がいくつも並んでいた。わざわざここでその党名を書く気にもならない。
私は約半年前から、自分のYouTubeチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」でミニ政党や小規模野党の党首らを取材してきた。
NHK党の立花孝志党首、日本第一党の桜井誠党首、国民主権党の平塚正幸党首(同党は参院選不参加)、ごぼうの党の奥野卓志代表、れいわ新選組の山本太郎代表といった面々だ。
テレビに出て発言するたび「中国は一党独裁だ」などと言われるので、日本の政党政治をもっと理解しようと闘志を燃やしてのことだ。
そこで分かったのは、奇抜な党名や突拍子もない主張を掲げるこれらの政党には、目立ちたがりの人物が多いこと。それもまた民主主義の一面なのだろうが、問題は(私の知る限り)金儲けのために政治を利用する者や、品行方正からは程遠い者が多いことだ。
選挙公報に「1票につき約250円」と書き、政党助成金のために票を入れてくれと訴えたNHK党。私が得た情報によると、同党幹事長は億単位の借金を踏み倒し、金を貸した人の気持ちも考えずに、自己破産した過去を開き直って語っていた。ところが同党は1議席を獲得し、まさかの「大勝利」。
日本第一党は党首がかつて嫌韓デモを主催していた過去を巧みに隠し、もっともらしい保守政策を掲げ、国民主権党は「コロナは風邪」の陰謀論で名を売り、支持者とのスキャンダルを週刊誌に報じられた人間が党首を務めている。